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河越尚幸先生が書いた糖尿病に関する論文がPLOS ONEにacceptされました。

大学院生の河越尚幸先生が、糖尿病モデルラットOLETF ratを使って検討した論文が米国の科学誌PLOS ONEにacceptされました。
Naoyuki Kawagoe et al: Investigation of Metabolism of Exogenous Glucose at the Early Stage and Onset of Diabetes Mellitus in Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty Rats Using [1, 2, 3-13C]Glucose Breath Tests

動物実験の経験が全くないゼロからの出発でした。40匹の糖尿病モデルラットを離乳期から老年期まで継続して飼育し、同一ラットが小児期から糖尿病発症までの糖代謝を継続して検討しました。小動物の糖代謝の研究は、採血が大きなハードルとなり、実験期間中に死亡してしまうことも少なくありません。今回は、血液検査を最小限にして、13C-glucose呼気試験を行うことにより、安全に糖代謝を検討することができました。

六炭糖Glucoseはエネルギーの原料としては最小単位のイメージがありますが、ATPが作られる過程で、6個の炭素の代謝は全く異なっています。この6個の炭素にラベルして投与する呼気試験を行うと、嫌気的解糖系、ペントースリン酸サイクル、TCA回路、糖新生など、どの経路が活性化され、逆にどの経路が抑制されているかを推定することができます。分子生物的手法など、多くのラットの解剖が必要な手法と異なり、同一ラットに繰り返し検査できる非侵襲的な手法であり、ラットは1匹も無駄にせずに済みました。その結果は極めて興味深いものでした。是非、論文をお読みいただければ幸いです。

河越先生は、他の実験も同時に行っており、貴島先生、今井先生、秘書の佐藤さんのサポートを受けつつも、ほとんど一人で200匹程のラットを、1年半にわたり、毎日体重を測定し、食べた餌、飲んだ水の量を計測し、緻密な管理をしてくれました。ラットの胃にゾンデでglucose溶液を投与する手技は容易ではありません。気管に入ると、咳のできない齧歯類はすぐに死んでしまいます。今井先生のご指導で、1匹の誤嚥もなく、実験を完遂することができました。ありがとうございます。

ラットは毎日接していると、懐いてきます。最初は指を噛まれていた河越先生ですが、最後は「育ての親」として、ラットに愛されていたようです。動物実験だけではなく、生化学の苦手な河越先生は、本当にゼロからの出発で、成書を数多く読んで勉強してくれました。秋田高校で鍛えられた粘り強さが、最後は大きな支えとなりました。本当にお疲れ様でした。次は、診療データをまとめましょう

大学院の実験に理解を示してくれた医局のみんな、本当にありがとうございました。東邦大学総合診療科は、多くの入院・外来患者さんの診療と、学部教育、研修医教育だけではなく、基礎実験を積極的に行っています。大学病院の総合診療科として、これからも進化していきます。

実験と総合診療の両方に興味のある先生方をお待ちしております。

文責 瓜田純久