第12回生体防御基盤研究セミナー「腸内細菌を標的とする疾患治療」

 

本田賢也先生のご講演

2019年8月7日(水)に第12回生体防御基盤研究セミナーが開催され、慶應義塾大学医学部微生物学・免疫学教室教授の本田賢也先生が「腸内細菌を標的とする疾患治療」というタイトルでご講演されました。1時間のご講演のあと質疑応答が30分にもおよび、非常に活発な議論が交わされました。


本田賢也先生のご講演
本田賢也先生のご講演
本田賢也先生のご講演
本田賢也先生のご講演
第12回 生体防御基盤研究セミナー
日時:2019年8月7日(水曜日)17:00 – 18:30
場所:東邦大学医学部3号館地下1階
第3講議室

本田 賢也 先生
慶應義塾大学医学部 微生物学・免疫学教室 教授
理化学研究所IMS・消化管恒常性研究チーム
「腸内細菌を標的とする疾患治療」

要旨
ほ乳類の腸管には数百の腸内細菌が存在し、宿主の生理機能に深く影響を及ぼしている。腸内細菌の異常は、しばしば健康に悪影響を及ぼし、疾患発症にも繋がる。従って腸内細菌を人為的に改善することが出来れば、複数の疾患に対する新たな治療戦略となり得る。その為には、腸内細菌を構成する個々の細菌種の役割を解明し、恒常的vs病的な宿主−細菌相互作用を理解する必要があるが、日本の腸内細菌学の先達は、嫌気性菌の培養技術を発展させ、同時にノトバイオート動物の作製と維持に関する方法論の確立に大きく貢献してきた。我々はそうした手法を取り入れ、最新のシークエンス解析技術と組み合わせることで、腸内細菌の特徴と機能を理解する試みを続けている。特に、免疫システムに影響を与える細菌種の同定に挑んできた。それによって、制御性T細胞、Th17細胞、Th1細胞、CD8 T細胞の分化と機能に影響を与える細菌株の分離培養に成功した。我々の知見は、感染症・自己免疫疾患・アレルギー・がんなどに対する新しい治療法を提供出来る可能性がある。

本田先生は、「腸内細菌叢による免疫制御の研究」での世界の第一人者です。大学院生や臨床医の人たちも含めた多数のご参加を歓迎いたします。

1. Atarashi, K. et al. Induction of colonic regulatory T cells by indigenous Clostridium species. Science 331, 337-341, (2011).
2. Atarashi, K. et al. Treg induction by a rationally selected mixture of Clostridia strains from the human microbiota. Nature 500, 232-236, (2013).
3. Atarashi, K. et al. Th17 Cell Induction by Adhesion of Microbes to Intestinal Epithelial Cells. Cell 163, 367-380, (2015).
4. Atarashi, K. et al. Ectopic colonization of oral bacteria in the intestine drives TH1 cell induction and inflammation. Science 358, 359-365, (2017).
5. Tanoue T, Morita S. et al. A defined commensal consortium induces CD8 T cells and anti-cancer immunity. Nature 565:600-605, (2019).

世話人:中野 裕康(生化学)(内線2355)