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心筋炎

疾患の概要

 心筋炎とは,細菌やウイルス等の感染症の後に引き起こされる心臓の筋肉の炎症です。心臓の動きが悪くなり,心不全や致死的な不整脈を引き起こす事があります。
 感染症以外にも薬物や放射線,熱などの物理刺激,代謝障害や免疫異常,妊娠等も原因となり,病因が特定できない特発性心筋炎もあります。
 多くは風邪症状(寒気,発熱,頭痛,筋肉痛,全身のだるさ)や食欲不振,吐き気,嘔吐,下痢などの症状が先行し,その後数時間~数日で心臓の症状(呼吸苦,胸痛,不整脈等)が出現します。

診断と治療

 診断には血液検査で炎症反応や心筋の炎症を表す心筋逸脱酵素の上昇,ウイルスの抗体を測定し,胸部レントゲンや心電図,心臓超音波検査等を用います。確定診断には心臓MRI検査(図1),核医学検査,心臓カテーテル検査での心筋生検を行う場合もあります。
(図1) 心臓MRI造影検査 
左心室の一部で、造影遅延(=心筋が障害されている所見)

入院生活の流れ

 無症状・軽症例では自然に軽快してしまう事も多く,入院での治療は安静臥床と鎮痛剤などの対症療法のみで経過観察します。不整脈が見られる場合には一時的にペースメーカーを使用することや,重症の心不全やショックきたす場合はステロイド療法やECMO(体外式補助循環装置)を使う場合があります。おおよそ,症状の度合いに関係なく心筋炎を発症し1~2週間持続した後に回復期に入りますが,一部で心臓の動きが回復せず,低心機能が遷延し、慢性心不全となる場合もあります。
 最近,新型コロナウィルスワクチン接種後に心筋炎を疑う事例が国内外で報告されています。厚生労働省によると,特に2回目以降で思春期や若年成人に,女性よりも男性で多く報告されています。コロナ禍においてはワクチン接種の有無にかかわらず,胸部症状の出現など、心血管疾患が疑われる場合には医療機関にご相談ください。

文責:大野瑠衣子

参照

厚生労働省 新型コロナワクチンQ&A,接種ワクチン接種後の心筋炎報告状況など

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
佐倉病院 循環器内科

〒285-8741
千葉県佐倉市下志津564-1
TEL:043-462-8811(代表)