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感染性心内膜炎

疾患の概要

 感染性心内膜炎は、弁膜や心内膜、大血管内膜に菌の塊(疣腫)を形成し、菌血症、血管塞栓、心障害などの多彩な臨床症状を呈する全身性敗血症性疾患です1)。発症頻度としては人口10万人あたり数人/年と言われています。

原因

 弁膜疾患や先天性心疾患に伴う“血流の異常”がある方や、人工弁置換術後などの“体内異物”がある方に多く発症します。そのような方は、心臓弁とそれに隣接する心内膜に血栓が形成されやすく、その血栓に細菌(稀に真菌)が付着することで様々な症状を引き起こします。虫歯や歯周病は、口腔内の細菌が体内に侵入する原因となるため、日々の口腔ケアは重要 です。また、歯科処置、耳鼻咽喉科的処置、婦人科的処置、泌尿器科的処置などで、細菌が血液中に侵入することもあります。

症状

 頻度の多いものとしては、持続する発熱・悪寒・呼吸困難感・食欲低下・体重減少・倦怠感・筋肉痛・関節痛などがあり、心雑音は非常に高い頻度で聴取されます2)。付着した細菌の塊がちぎれて飛んだ場合は、体の様々な臓器に障害をきたすため、多彩な症状を引き起こし診断に時間がかかるケースもあります。細菌の塊は血管を詰まらせ、脳梗塞、心筋梗塞、脾梗塞、腎梗塞、四肢の末梢動脈の塞栓、網膜の塞栓などを引き起こします。

診断と治療

 臨床症状に加え、心臓超音波検査で疣腫の確認、血液検査(血液培養)から細菌が検出されることなどから診断に至ります。通常、心臓超音波検査は経胸壁(図1)で行いますが、詳しく観察するために更に食道から心臓超音波検査を行います(図2)。胃カメラのように口から超音波内視鏡を挿入し、心臓を食道から観察する検査です。食道は心臓のすぐ後ろにあるため、詳細な観察が可能で、疣腫の検出に役立ちます
 感染性心内膜炎は未治療の場合100%死亡に至り、治療を行っても院内死亡率は15%以上と高いことが知られています2),3)。治療は内科的治療として、抗生物質の投与を行います。病原菌などによって状況は異なりますが、最低でも6〜8週間の投与は必要とされています。弁穿孔による心不全や抗生物質でも改善が見られない場合、また塞栓症予防などの観点から外科手術を行う場合もあります。

診断と治療

入院生活のながれ

 抗生物質の点滴投与、超音波による疣腫の経過観察が中心となります。MRIやCT検査にて、弁に付着した疣腫が全身に塞栓化していないか、適宜評価されます。心不全症状が出ている場合は、血行動態の管理も併せて行います。
図1:僧帽弁に付着する疣腫(経胸壁心臓超音波検査) 図1:僧帽弁に付着する疣腫(経胸壁心臓超音波検査)
図2:僧帽弁に付着する疣腫(経食道心臓超音波検査) 図2:僧帽弁に付着する疣腫(経食道心臓超音波検査)

文責:野中翔矢

参考文献

  1. Guidelines for Prevention and Treatment of Infective Endocarditis (JCS 2017)
  2. Murdoch DR, et al.: Clinical presentation, etiology, and outcome of infective endocarditis in the 21st century: The International Collaboration on Endocarditis-Prospective Cohort Study. Arch Intern Med. 169: 463-473, 2009.
  3. Leone S, et al:Epidemiology, characteristics, and outcome of infective endocarditis in Italy: the Italian Study on Endocarditis. Infection. 2012; 40: 527–535.

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