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心膜炎

疾患の概要

 心臓は心膜によって包まれた臓器であり、心膜は2つの層で構成されます。この層により形成される袋状の空間を心嚢といい、正常も心嚢には少量の液体が貯留しており、潤滑剤としてや外部からの衝撃を和らげるはたらきをしています。
 心膜炎とは、何らかの原因で、心膜に炎症が波及した病気です。心膜炎は心筋炎に合併することもあります。代償できないほど急速に心嚢に液体が貯留すると、心タンポナーデという、心臓のポンプの機能に障害が出てしまう場合もあります。
症状は発熱・胸痛・呼吸困難・倦怠感等があります。胸痛は深呼吸や咳嗽、体動で強くなります。深呼吸により胸痛が増悪するため浅く速い呼吸になることがあります。
 心膜炎の原因は、感染症や膠原病、悪性腫瘍や心筋梗塞、薬剤性など多岐にわたりますが、ウイルス感染症が大半を占めるといわれています。しかし、実際にウイルス感染に伴う心膜炎であることを証明することは難しく、原因を特定できない場合には特発性心膜炎と診断されます。ウイルス感染の場合には1週間前ほど前に風邪症状を伴うことが特徴です。6か月以上の慢性経過を辿った慢性心膜炎では心嚢液が貯留し心タンポナーデをきたす可能性が高くなるため注意が必要です。

診断と治療

 心膜炎の検査は、心電図、血液検査、心臓超音波検査、胸部レントゲン検査等を行います。中でも心電図が非常に重要で、90%の患者様に心電図異常が認められます。上記の他に必要に応じて心臓MRI検査や心臓カテーテル検査、心膜の組織を採取し病理検査をする場合もあります。
 治療は、入院経過をみながら症状が消失するまで安静にすることです。症状が強い場合には炎症を抑えるためにNSAIDsを内服する場合もあります。また、炎症が強くなると心臓超音波検査で心嚢液貯留を認めることもあり、心タンポナーデをきたした場合には、心嚢穿刺と呼ばれる追加の処置を行う必要があります。

文責:鈴木琢途

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
佐倉病院 循環器内科

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