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睡眠時無呼吸症

疾患の概要

 睡眠時無呼吸は、日中の眠気や集中力低下等の臨床症状をきたす他、心血管系疾患発症の危険因子となります。内臓脂肪蓄積、高血圧、耐糖能障害、脂質代謝異常を合併する頻度が高いことも特徴として挙げられます。
 病態としては、無呼吸中に呼吸努力を伴う閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)が9割以上を占めます。睡眠1時間あたり、無呼吸低呼吸指数,apnea hypopnea index(AHI)が15回以上である中等症OSAですが、本邦の大規模調査では、中等症以上のOSAが成人男性の23.6%、閉経前女性の1.5%,閉経後の9.6%に存在することが報告されています。1)

診断と治療

1) 診断と治療のアルゴリズム

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2) 睡眠時無呼吸に対する治療

診療、加療については睡眠医療専門医のみならず集学的医療の必要性があり、精神科、耳鼻咽喉科、口腔外科、呼吸器科、代謝・内分泌科、心・血管系診療科の連携による診療体系の構築が必要です。2)
  1. 減量:減量とともに睡眠時無呼吸は改善を示します。
  2. 持続気道陽圧療法 (CPAP):わが国では、1998年より睡眠時無呼吸に対するCPAP治療が保険適応となりました。CPAP治療のメリットととして、昼間の眠気の消失、いびきの消失、早朝の頭痛改善、夜間頻尿の改善、勃起障害の改善等の報告があります。また、高血圧に対する改善効果も指摘されています。CPAPの治療継続についての問題点ですが、装置自体の問題点として、圧迫感、空気の漏れ、作動音、冬季には寒冷増悪などがあります。これらが睡眠環境に悪影響を与え、夜間の覚醒を惹起してしまいます。また、鼻疾患を有する患者にCPAP装着は困難で、継続率が低くなってしまいます。
  3. 外科治療:以前は気管切開術が行われていましたが、現在は、他の方法で改善が見込めない重症患者にのみ適応とされています。耳鼻咽喉科を中心に、睡眠時無呼吸に対する外科治療への取り組みが試みられています。
  4. 口腔内装置:顎顔面の形態的相違が睡眠時無呼吸の発症に関わっているとされ、下顎を前突させる口腔内装置の使用により、睡眠時無呼吸の改善が報告されています。CPAPが許容できない患者さんや比較的軽症例の方に用いられています。

文責:高橋真生

参考文献

  1. Matsumoto T, et al : Impact of sleep characteristics and obesity on diabetes and hypertension across genders and menopausal status ; the Nagahama study. Sleep 41, 2018. doi : 10.1093/sleep/zsy071
  2. 高橋 真生. 【肥満治療戦略への集学的アプローチ】肥満と合併症 成因と治療 睡眠時無呼吸症候群 治療学(0386-8109)41巻7号 Page685-689(2007.07)

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