糖尿病・内分泌・代謝センター

高度肥満症の外科的治療 ①適応と術式

当院では、(1)保険診療による腹腔鏡下スリーブ状胃切除術にくわえて、(2)先進医療による腹腔鏡下スリーブ状胃切除術および十二指腸空腸バイパス術(スリーブバイパス術)も実施しています。それぞれに適応条件が定められておりますので、以下の要件をご確認ください。

(1)保険診療による腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の適応(2020年改定)

下記①または②に該当し、6ヶ月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られない場合
①BMI 35kg/m2以上の場合:
糖尿病、高血圧、脂質異常症または睡眠時無呼吸症候群のうち1つ以上を合併している方。
②BMI 32.5-34.9kg/m2の場合:
HbA1c 8.4%以上の糖尿病、収縮期血圧160mmHg以上の高血圧、LDLコレステロール140mg/dL以上またはnon-HDLコレステロール170mg/dL以上の脂質異常症、無呼吸指数(AHI)30以上の睡眠時無呼吸症候群のうち1つ以上を合併している方。

(2)先進医療による腹腔鏡下スリーブ状胃切除術および十二指腸空腸バイパス術(スリーブバイパス術)

下記①~③すべてに該当し、6ヶ月以上の内科的治療によっても十分な効果が得られない場合
①糖尿病を伴ったBMI35kg/m2以上の肥満症
②初診時のABCDスコアが5点以下、もしくはインスリン投与を受けている
③文書による同意が得られている

*BMI(body mass index)=体重(kg)÷(身長(m)×身長(m))
*ABCDスコア
ABCDスコア
上記に当てはまらない方は減量・代謝改善手術の適応にはなりません

当院で施行可能な減量手術の術式

①スリーブ状胃切除術

現在わが国で最も実施されている術式です。胃の外側(大弯側)を外科的に切り取って細長い筒のように形成し、摂取エネルギーを減らすことにより減量効果をもたらします。この術式の体重減少率は平均約30%です。手術1年後の糖尿病寛解(糖尿病の薬が要らなくなる)率は約60~80%と報告されています(人種や術前の糖尿病の状況により異なります)。

②スリーブ・バイパス術

この術式はスリーブ胃切除術にくわえて、小腸のルートを変更して消化吸収を阻害(バイパス)する術式です。糖尿病改善効果が高く、わが国では胃バイパス術に代わり主役となりつつあります。胃バイパス術と異なり、術後の胃を内視鏡で容易に観察できるメリットがあり、胃がんの頻度が高い日本人に適しています。

③胃バイパス術

以前は海外で最も多く実施されていた術式ですが、近年はスリーブ状胃切除術が増加し、相対的に頻度は減ってきています。胃を小さく形成し、さらに小腸のルートを変更して消化吸収を阻害(バイパス)するため、糖尿病改善効果が高い術式です。胃バイパス術では、術後の残胃から発がんした場合に検査が困難となる懸念があり、適応は慎重に検討する必要があります。

*胃内バルーン留置術

内視鏡(胃カメラ)を使って胃の中に生理食塩水で膨らませた風船を留置するという肥満症治療法の一つです。これは、胃の内容量が風船の分だけ少なくなるため、食事の摂取量が自然に少なくなり体重減少を期待する方法です。平均体重減少は10kgで、糖尿病などの代謝改善効果も期待できますが、減量・代謝改善手術に比較するとその効果は劣ります。胃内バルーン留置術は、体重を落とすきっかけをつかみたい方、減量・代謝改善手術を受ける前に体重減少が必要な方に向いているといえます。 術式、胃内バルーン留置術については、消化器外科のページもご参照ください。

減量・代謝改善手術の術式に関して(佐倉病院 消化器外科サイト)

胃内バルーン留置術に関して(佐倉病院 消化器外科サイト)

上記に当てはまらない方は減量・代謝改善手術の適応にはなりません