Save the Nephrons

はじめに
慢性腎臓病(Chronic kidney disease; CKD)は腎臓のろ過機能(GFR)が健康な人の60%未満に低下するあるいはたんぱく尿が出るなどの腎臓の異常が続く状態を言います。
慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全のリスクであり、心臓病や脳血管障害のリスクであり、進行した腎臓病では健康維持のため、移植や腎臓の代わりに透析で血液を浄化する必要があります。人生100年時代、腎臓とその先の健康を守りましょう。
慢性腎臓病(CKD)は末期腎不全のリスクであり、心臓病や脳血管障害のリスクであり、進行した腎臓病では健康維持のため、移植や腎臓の代わりに透析で血液を浄化する必要があります。人生100年時代、腎臓とその先の健康を守りましょう。

Save the Nephrons 東邦大学医療センター佐倉病院腎臓学講座 教授 大橋 靖
腎単位「ネフロン」
腎臓には「糸球体(しきゅうたい)」と呼ばれるろ過器と「尿細管(にょうさいかん)」と呼ばれる必要なものと不必要なものをふるい分ける細長い管があり、それらを一組にして「腎単位(ネフロン)」と呼びます。

この腎単位(ネフロン)の喪失は腎臓のろ過機能(GFR)の低下に大きく影響しています。
残された腎単位(ネフロン)の喪失を防ぐため、腎臓に負担になっているリスク因子を評価し、そのひとつひとつを改善させましょう。
残された腎単位(ネフロン)の喪失を防ぐため、腎臓に負担になっているリスク因子を評価し、そのひとつひとつを改善させましょう。
加齢と腎単位「ネフロン」の数
加齢とともにネフロンの数は減少していきます。健康な方でも10年間で約7.3%程度のネフロンが失われているといわれており、80歳台の半数弱は腎臓のろ過機能(GFR)が60%未満に低下しています。腎臓にやさしい生活を心がけましょう。

Denic A, et al. J Am Soc Nephrol. 2017;28(1):313-320. より引用
腎単位(ネフロン)喪失に関わる「5つ病態」

糸球体疾患
腎臓の糸球体(しきゅうたい)と呼ばれるろ過フィルターの持続的な炎症や傷害が起きます。腎炎・ネフローゼ症候群などの疾患は炎症を制御するためにステロイド薬および免疫抑制薬が必要です。糖尿病や高血圧などの疾患は傷害を制御するために原病の適切な管理が必要です。
糸球体過剰ろ過
残された糸球体(しきゅうたい)は持続的にろ過圧を上昇させ、尿の生成を行います。この糸球体過剰ろ過は、さらなる糸球体の硬化を招きます。糸球体過剰ろ過を制御し、残された糸球体の負担を軽減させることが必要です。
腎と栄養代謝障害
たんぱく質の過剰摂取、肥満・メタボリック症候群は腎臓に負担をかける可能性があります。一方、疾患に伴うるい痩・サルコペニアは健康寿命を低下させます。たんぱく質に対する腎臓の予備力と栄養に関する健康課題を考慮しつつ、たんぱく質とエネルギー摂取量のバランスをとることが大切です。
心腎連関
心臓と腎臓は密接に関連し、心臓の機能が落ちると腎臓の働きが悪くなることがあり、逆に、腎臓の働きが悪くなると、その影響で心臓の機能が低下することがあります。減塩や血圧・貧血の管理により、心臓と腎臓の悪い連関を断ち切ることが必要です。
腎虚血と線維化
傷ついた腎組織への血流低下は糸球体(しきゅうたい)の硬化や尿細管・間質の線維化を招きます。体調の変化に伴う過度の血圧低下や脱水などの体液過少、解熱鎮痛薬などの薬剤の連用などに注意が必要です。
Save the Nephronsの取り組み
- ネフロン喪失に関わるリスク因子を「5つの病態」から評価
現在の腎臓の健康度チェックを行い、ネフロン喪失に関わるリスク因子である「5つの病態」を評価します。 - ライフステージにおける栄養に関する健康課題を評価
「体組成検査・サルコペニア診断・腹部CT検査」による内臓脂肪面積を評価し、たんぱく質とエネルギー摂取量のバランスを設定します。 - たんぱく質摂取に対する腎臓の予備力を評価
腎臓はたんぱく質摂取により、糸球体内圧を上昇させ腎臓のろ過機能を上昇させます。その反応性を評価し、たんぱく質摂取を制限するべきかどうか評価します。 - ネフロン喪失を防ぎ、その先の健康を守るための診療プランの提案
評価に基づいて診療プランと腎臓と健康にやさしい生活を提案します。 - ネフロン喪失を防ぐための普及啓発
慢性腎臓病(CKD)の重症化予防は自覚症状のないステージの早い段階から適切に行われることが大切です。ひとつひとつのネフロンを大切にする意識を拡げていきます。
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