認知症に対する取り組みと認知症サポートチーム(DST)

取り組み 6 「認知症サポートチーム DST (ディーエスティー dementia support team)」
看護認定看護師さん(さくらTimes) (PDF 2.4MB)
取り組み10 「患者さん情報誌 地域新聞 に、 佐倉病院脳神経内科・精神科・脳神経外科による 認知症サポートチーム(DST) が取材を受けました! 🌸」
🏥「2019年度 印旛9市郡認知症医療連携協議会」が、佐倉市ウィシュトンホテルで開催されました。🏥
「Run伴(らんとも)」 2019年11月2日(土)認知症啓蒙の市民運動に、東邦大学医療センター佐倉病院認知症サポートチーム(DST)メンバーが参加しました!
認知症ケア研修会 ’認知症者を支える環境調整とは’ が開催されました。
「平成30年度千葉県認知症疾患医療センター研修会」が、千葉大・東邦大佐倉病院・同和会千葉病院(船橋)の3病院による企画で、若年性認知症をテーマとして開催されました。
「Run伴(らんとも)」 2018年9月8日(土)認知症啓蒙の市民運動に、佐倉病院認知症サポートチーム(DST)メンバーと佐倉病院陸上部メンバーが参 加しました!
認知症疾患医療センターと、東邦大学医療センター佐倉病院の認知症に対する取り組み
認知症は、初期軽症の方(物忘れなど)は神経内科、中期以降の方(妄想幻覚など)は精神科(メンタルヘルスクリニック)が主に担当しております。認知症の原因はさまざまで、アルツハイマー病、レヴィー小体型認知症、かくれ脳梗塞、アルコールなどが関与致します。その上で、初期評価診断と、介護薬物治療などの対処を相談することが重要です。東邦大学医療センター佐倉病院では、神経内科とメンタルヘルスクリニックが共同して、院内・院外の患者さんのご相談に応じています。ここでは、神経内科を中心にご紹介申し上げます。
認知症疾患治療センター紹介など(神経内科 榊原) (PDF 7.0MB)
取り組み1 「もの忘れ外来」
取り組み2 「さくらパス」
本会は、千葉県から佐倉市への委託事業で、医師(会長)志津雄一郎先生(志津クリニック精神科院長、佐倉市医師会)、(副会長)榊原隆次(東邦大学医療センター佐倉病院神経内科教授)、(委員)黒木宜夫先生(東邦大学医療センター佐倉病院メンタルヘルスクリニック教授)/桂川修一先生(同准教授)、医師会先生方、歯科医師会、薬剤師会先生と共に、佐倉市から佐倉市福祉部高齢者福祉課、佐倉市の5つの地域包括支援センターのケアマネージャーチーフ(志津北部、志津南部、臼井千代田、佐倉、南部)が、共同で、佐倉市の認知症の医療とケアを包括するものです。佐認会の特色として、全国に先駆けて、5つの地域包括支援センターの窓口で、認知症の初期評価としての心理検査(ミニメンタルテスト、MMSE、認知症の物差しとも言われます)を開始しております。認知症の物差しを、患者さん、ご家族、ケア、医師歯科医師薬剤師先生が共有することで、適切な初期対応が可能になっています。
取り組み3 「認知症疾患医療センター」
なお、認知症一般につきましては、以下のリンクをご参照戴けますと幸でございます。
取り組み4 「認知症初期集中支援チーム」
取り組み5 「認知症と運転免許証」
一方、運転免許試験センターでは、診断書提出と並行して、自主的な免許証の早期返納をうながしておられます。早期返納により、バス(タクシー)などの公共機関が割安で利用できるメリットがあります。詳しくは、最寄の運転免許試験センターにおたずね下さい。
取り組み6 「認知症サポートチーム DST (ディーエスティー dementia support team)」
まだものわすれ外来を受診していない方をふくめて、認知症が疑われる/せん妄などがみられる入院中の患者さん(病棟看護師等による気づき)に対して、チーム員で訪問・回診をいたします。
毎週1回、水曜午後の神経内科外来にて、神経内科(榊原)、精神メンタル科(加藤先生・桂川先生)、神経内科認知症専門看護師(飯村さん)、神経内科臨床心理士(尾形さん)、精神メンタル科医療福祉士(鈴木さん)、理学療法士(寺山さん)のチーム員7名が集まり、3時間ほどをかけて、1回に40事例の検討会をしています。
この検討会により、認知症が疑われる方のケアと治療がスムーズに進み、転倒の防止、抑制手技の軽減につながることを望んでおります。
「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)」(厚生労働省ホームページ)

取り組み8 「東邦大学佐倉病院からの発信と学術」
認知症を含めた学術活動全般について 一部英語のものがございます

Young-onset dementia with Lewy bodies.
雑誌名Case Rep Neurol. 2018年; 第10号: 363-368ページ.
当院の認知症サポートチーム(DST)メンバー(認知症専門看護師、臨床心理士、医療社会福祉士、理学療法士、精神科医、脳神経内科医、神経放射線科医)により報告されました。(図は、診断の決め手となる心筋MIBGシンチグラフィー、脳ダットスキャンの写真です) 65歳以前に発症する認知症は、若年性認知症と言われ、当院でも重要項目の一つとして取り組んでいます。若年性認知症を発症されますと、仕事に従事されている方、一家の主婦をされている方等々、ご家族を含めた困窮度は、年配の方以上に大きいと言われます。若年性認知症の原因として、これまで、アルツハイマー病(AD)、前頭側頭型認知症(FTD)などが知られていました。一方DLBでも、歩行障害を伴わず、若年性認知症を発症する場合があり、その場合の診断とケアが述べられています。

Acute onset dementia/delirium among university in-patients: a multi-faculty surveillance including emergency.
第61回日本神経学会総会(2020年5月20-23日、岡山 予定) (図は、当院DSTのメンバーです) 当院の認知症サポートチーム(DST)メンバー(認知症専門看護師、臨床心理士、医療社会福祉士、理学療法士、精神科医、脳神経内科医)による報告です。 当院は451床の急性期医療・高度先進医療を中心とする病院です。近年は、全国の大学病院と同様に、年配の患者さんの比率が増え、80-90歳台の方の手術数が増加しています。一方、80歳台の方の3人に1人が、何等かの認知機能の問題を持っているとされ、眼科、外科をはじめとする全ての病棟で、入院を機に、認知症/全身炎症脳症(せんもうとも言います)を発症されることが少なくありません。病棟看護師さんのみで対応下さることも少なくないのですが、病棟看護師さん(リンクナース)による「気付き」により、当院DSTメンバーが皆でお部屋に訪問し、患者さん/看護師さんの相談に乗っています。 85歳以上入院患者さんでは23.6%の方が対象となり、眼科を含めた全ての科にまたがっており、日常生活に常に介護を要する人が多く、「認知の物差し」ミニメンタルテストの平均点数は、16.5/30点(24点以上が正常値です、中程度の認知症)でした。
取り組み9 「せんもうの予防とケア」

原因として、
- 脱水 ~脱水脳症
- 誤嚥性気管支肺炎/手術後 ~全身炎症脳症
- 担癌患者さん ~担癌患者の脳症
- 薬剤(の過量)/全身麻酔後 ~薬剤性脳症
- その他 ~代謝性脳症(O2,CO2,Na,糖,ビタミンB1,アンモニア,尿毒症など)
- ストレス~環境変化,痛み,カテーテル,抑制,ICU
これらをまとめた点数(リスク)として、70歳以上、アルコール、認知症、脳固有の病気、薬剤、手術/全身麻酔、せんもう歴の7つのうち、2つ(2点)以上が当てはまると、せんもう/脳症を起こしやすいとされます(厚生労働省ホームページ)。

取り組み10 「患者さん情報誌 地域新聞 に、 佐倉病院脳神経内科・精神科・脳神経外科による 認知症サポートチーム(DST) が取材を受けました! 🌸」
お知らせ
♡♡「認知症の排泄ケア ベッドサイドマニュアル」が、この度発刊されました。
下記は巻頭言です。少し長いですがご覧頂けますと幸いです。

認知症の排泄ケア: ベッドサイドマニュアル 巻頭言
泌尿器科、消化器科の先生方に知られておりますように、認知症の方の、内視鏡で異常がない機能性の排泄障害は、以前は、「認知症によるもので、対処のしようがないもの」と考えられがちでした。ところが最近、認知症がごく軽度またはほとんどない年配の方にも、排泄障害(過活動膀胱と便秘)が、高頻度にみられることが明らかとなってきました。その背後にあるものがある程度明らかにされ、メカニズムに応じた、効果的な治療ができるようになってきました。
以下のことが明らかとなってきています~
★若年性アルツハイマー病では、認知症が目立ちますが、過活動膀胱・便秘や歩行障害が目立たないこと。
★高齢の方では、かくれ脳梗塞とアルツハイマー病の2疾患の合併が多く、このうちかくれ脳梗塞が、過活動膀胱と歩行障害(ちょこちょこ歩き・左右に足が開いている)を早くからきたすこと。
★最近注目されているレヴィー小体型認知症は、脳だけでなく末梢神経(腸管壁内神経叢)にも病気が及ぶために、便秘・イレウスを早くからきたし、溢流性便失禁もみられること。
★高齢の方は、脳の病気の他に、全身(各診療科)の合併症も多いものです。おなかの手術後の癒着性イレウス、前立腺肥大症(男性)、糖尿病・腰椎症による残尿(便秘)、腹圧性尿失禁(女性)、夜間多尿、薬の効きすぎによる残尿便秘、廃用性萎縮(椅子から立ち上がれない、サルコペニアともいいます)、整形外科の病気(膝関節症・腰椎症)による痛み、発熱/脱水/手術後や悪性腫瘍の方にみられるせんもう(脳症ともいいます)など。
★一方、認知症が進行すると(認知の物差しミニメンタルテストが10点以下など)、トイレの場所がわからない、トイレで排尿排便する意思がない、尿便失禁をしても教えず平気でいる、などの認知機能・意欲の低下のため失禁をしてしまいます。さらに、1時間に10回以上ナースコールを呼ぶなどのいらいら症状(膀胱のBPSD [認知症の行動心理症状]ともいいます)がみられることもあります。
これらの、認知症の方の排泄の困りごとに対して、ケアと治療の試みがされてきています。本書は3章からなります。
第1章「どんなパターンがあるの?」 は症例提示です。排泄の困りごとがあった時、似たパターンを探しますと、その背後にあるものと、具体的な方策を知ることができるように思います。
第2章「もうちょっと知りたい!」 は質問と答えです。まとまった答えを得ることができるように思います。
第3章「詳しく知りたい!」 は総論編です。認知症・高齢者・排泄をもっと知りたい方のために、第1・2章のもとになる考え方・研究について知ることができるように思います。
本書は、認知症の方と共に歩んでおられる家族会、介護支援専門員、医療社会福祉士、市の高齢者福祉課、認知症専門看護師、理学療法士、臨床心理士、脳神経内科、精神科、老年内科、泌尿器科、婦人科、消化器内科外科その他の皆様方に、直接ご執筆を依頼して、完成したものです。すなわち、認知症の方の排泄の困りごとの「なまの声」に対して、対処法を、エキスパートの立場からわかりやすく解説する実践の書です。ぜひ、手に取ってお役立て頂けますと幸いです。なお本書は、中外医学社から出版されました「神経因性膀胱ベッドサイドマニュアル」、「神経・精神疾患による消化管障害ベッドサイドマニュアル」の姉妹編でもあります。併せ御覧頂けますと幸いです。最後に、編集発刊に向け終始ご助言を賜りました、中外医学社 五月女謙一さん・中畑謙さんに心より深謝申し上げます。
2020年9月 吉日
編者
榊原 隆次 東邦大学医療センター佐倉病院脳神経内科教授
関戸 哲利 東邦大学医療センター大橋病院泌尿器科教授
西村かおる 日本コンチネンス協会会長
🏥「2019年度 印旛9市郡認知症医療連携協議会」が、佐倉市ウィシュトンホテルで開催されました。🏥
総合司会を志津クリニック院長 志津雄一郎先生に賜り、会がスタート致しました。 開会あいさつは当院脳神経内科榊原より、続いて、当院院長 長尾建樹先生より、ご挨拶を賜りました。 まず、「介護医療の連携について~佐倉市の取り組み」について、佐倉市高齢者福祉課 緑川様より、続いて、 「認知症疾患医療センターについて」を、千葉県健康福祉部高齢者福祉課 認知症対策推進班主査 蟹江様より賜りました。つぎに、大学病院から、「当院の認知症疾患医療センターとしての取り組み ~高齢者ケアの立場から」 を榊原 より、「日本医科大学千葉北総病院での認知症診療:連携について」を、日本医科大学千葉北総病院脳神経内科教授 山崎峰雄先生より賜りました。最後に、「認知症診療 ークリニックの立場からー」 を、東海大学脳神経内科名誉教授で、四街道駅クリニックを開業されておられる 北川泰久先生から、それぞれ賜りました。閉会のあいさつは、いつも大変お世話になっている、当院メンタルヘルスクリニック教授 桂川修一先生に賜りました。情報交換会では、各ご施設の先生方・皆様に、おおいに交流を頂きました。
本会が印旛9市郡での認知症の方の介護・医療交流に役立つならば、望外の喜びです。
文責:東邦大学医療センター佐倉病院 認知症疾患医療センター/認知症サポートチーム


「Run伴(らんとも)」 2019年11月2日(土)認知症啓蒙の市民運動に、東邦大学医療センター佐倉病院認知症サポートチーム(DST)メンバーが参加しました!



東邦大学医療センター佐倉病院から、DSTメンバーとして認知症専門看護師の飯村さん、臨床心理士の尾形さん、精神医療福祉士の鈴木さんご一家の計5名が参加され、見事完走されました。東邦大学医療センター佐倉病院の認知症ケア活動を、佐倉市民の皆様に大いにアピールして下さいました。大変お疲れ様でした。
認知症ケア研修会 ’認知症者を支える環境調整とは’ が開催されました。
本研修会は、病院内全職員が、認知症を有する高齢の患者さんを理解することにより、患者さんに優しい医療を実現するためのものです。同時に、それを適切に十分に行っている病院が、国で定められた「認知症ケア加算1」を算定するための要件ともなっています。本研修会は、認知症ケア委員会/認知症サポートチームDST (ディーエスティー dementia support team)メンバーによって企画・運営されました。
認知症専門看護師の飯村さんと、脳神経内科の榊原先生の司会の下、会が始まりました。
はじめに、佐倉市福祉部高齢者福祉課 包括ケア推進班主任保健師の 鵜澤由佳先生により、
(1)認知症者を支える社会資源とは-佐倉市の高齢化状況や認知症施策を学ぶ— についてお話を頂きました。つぎに、公益社団法人 認知症の人と家族の会 千葉県支部支部長 廣岡成子先生により、
(20)認知症者を支える家族看護とは-認知症のある方のご家族はどのようなケアを望んでいるか— について、廣岡先生の豊富なご経験・実例をもとに、笑いを交え、とても役に立つお話、考えさせられる素晴らしいお話を頂きました。認知症の人と家族の会による、国・地方自治体に対する政策の充実を求める要望活動についても、ご紹介を頂きました。詳しくはホームページ(http://www.alzheimer.or.jp/?page_id=157)をご覧頂けますと幸いです。研修会により、患者さんに優しい医療が少しずつ、さらに広がることが望まれます。

(桂川先生は学会で参加できず残念でした)
「平成30年度千葉県認知症疾患医療センター研修会」が、千葉大・東邦大佐倉病院・同和会千葉病院(船橋)の3病院による企画で、若年性認知症をテーマとして開催されました。

右:東邦大佐倉病院のケースレポート(榊原)
「Run伴(らんとも)」 2018年9月8日(土)認知症啓蒙の市民運動に、佐倉病院認知症サポートチーム(DST)メンバーと佐倉病院陸上部メンバーが参加しました!

写真下右 佐倉市イメージキャラクター「カムロちゃん」
RUN伴(らんとも)は、民間非営利組織(NPO)認知症フレンドシップクラブ(2007年) http://dfc.or.jp/about により始められたもので、県高齢協および佐倉市の後援を受け、2018年9月8日(土曜日)、認知症の方と家族・サポーターの方々が、イオンタウンユーカリが丘を1周する(1.8 km)ものです。
http://www.aeontown.co.jp/yukarigaoka/node/3103
東邦大学医療センター佐倉病院から、DSTメンバーとして認知症専門看護師の飯村さん、臨床心理士の尾形さん、佐倉病院陸上部メンバーとして臨床検査技師の高橋さんの3名が参加され、見事完走されました。東邦大学佐倉病院の認知症ケア活動を、佐倉市民の皆様に大いにアピールして下さいました。大変お疲れ様でした。
(文責: 脳神経内科/認知症疾患医療センター/DST 榊原隆次)