脳神経内科

歩行障害に対する取り組みとパーキンソン病診療・脳卒中ケアユニット(SCU)

💛歩行障害に対する取り組みとパーキンソン病診療・脳卒中ケアユニット(SCU) 💛公開講座
 「地域で考えるケアと治療 歩行障害とともに歩む"診断と治療"」  第9回までは「これまでの公開講座案内 1. 歩行障害/パーキンソン病/脳卒中」のページを  ご覧下さい。 💛お知らせ
  • パーキンソン病における下部尿路機能障害診療ガイドライン(2017年 日本排尿機能学会編集 佐倉病院脳神経内科 榊原隆次先生、大橋病院泌尿器科 関戸哲利先生が参加されました)が、Mindsガイドラインライブラリ パーキンソン病 に収載されました。同HPからご覧頂けますと幸です。 https://minds.jcqhc.or.jp/medical_guideline/guideline_list

歩行障害に対する取り組みとパーキンソン病診療・脳卒中ケアユニット(SCU)

ここでは、脳神経内科を中心に、高齢者に多いパーキンソン病・レヴィー小体型認知症・脳卒中を含めてご紹介申し上げます。

💛歩行障害に対する取り組みとパーキンソン病診療💛

人口の高齢化を受け、全国の大学病院をはじめとする医療施設は、高齢者にやさしい医療に取り組んでおります。80歳台の方の3人に2人が、なんらかの歩行の問題を抱えておられるとされ、歩行障害を有する方にやさしい医療への取り組みが、急務とされています。
歩行の問題は、脳神経内科、整形外科、脳神経外科が主に担当しております。表1にありますように、歩行障害の症状は「小刻みになる」「よく転ぶ」「ふらつく」「腰や足が痛い」などさまざまです。
表1

歩行障害の

主な症状

原因として考えられる病気 該当する診療科
膝の痛み 膝関節症 整形外科
足先のしびれ 末梢神経障害 脳神経内科
片足裏の痛み 腰椎症 整形外科
半身麻痺 脳卒中 脳神経内科・
脳神経外科
両足麻痺 脊髄障害 脳神経内科・
整形外科
小刻み歩行・
後方に傾く
パーキンソン症候群 脳神経内科・
脳神経外科
開脚歩行ふらつき 脊髄小脳変性症 脳神経内科
めまいふらつき・こり 良性発作性頭位めまい・
神経症
耳鼻科・精神科
座位から立てない 廃用性萎縮 全科
歩行障害の原因もさまざまで、生活習慣病である脳卒中、飲酒、神経難病、末梢神経、関節の問題などが関与致します。その上で、初期評価診断と、介護薬物治療などの対処を相談することが重要です。東邦大学医療センター佐倉病院では、脳神経内科、整形外科、脳神経外科、その他の診療科が協力して、院内・院外の患者さんのご相談に応じています。ここでは、脳神経内科を中心に、高齢者に多いパーキンソン病・レヴィー小体型認知症を含めてご紹介申し上げます。

下記の「病気と治療」もぜひご参照下さいませ。

パーキンソン病とパーキンソン症候群 

認知症(レヴィー小体型認知症を含めて)

 

取り組み1 「歩行障害の外来」

2007年、東邦大学医療センター佐倉病院に脳神経内科が設置されました(診療責任者: 榊原隆次)。脳神経内科外来では、2007年の設置と同時に、歩行障害を有する方・歩行障害が疑われる方を、月曜~金曜の一般外来で広く受け入れております。年配の患者さんで、同時に物忘れが気になる方は、歩行障害と並行しての検査・相談が可能です。パーキンソン病は、50歳位からみられ、その頻度は1000人に1人程と言われます。当院では450名程の患者さんが通院をされておられます。
一方、80歳台の方の3人に1人は、なんらかの認知機能の問題も持っておられるとされ、基礎となる変性疾患はアルツハイマー病とレヴィー小体型認知症(パーキンソン病が広がった形)が多く、その比率は5:1ともいわれます。すなわち、高齢の方の間では、レヴィー小体型認知症は稀な病気ではないようです。これらの病気を見落とさないように、脳神経内科では、脳MRI画像、脳血流画像、脳ダットキャン/MIBG心筋シンチ、心理検査を含めた丁寧な初期評価診断と、介護リハビリ薬物治療などの対処をご相談しております。
取り組み1 「歩行障害の外来」

 

取り組み2 「リハビリテーションと歩行障害の制度」

取り組み2 「リハビリテーションと歩行障害の制度」
歩行障害で利用できる制度として、元の病気によらず、介護保険(歩行障害または認知症があると利用でき、介護保険による通所リハビリテーションが利用できます。症状が目立つ方の場合、短期の入所[ショートステイ]リハビリも可能です)、身体障害者手帳(症状が目立つ方の場合メリットがあります)があります。パーキンソン病その他の、厚生労働省で指定された難病の場合、特定疾患受給者証があります(パーキンソン病ではヤール分類3度以上の方)。脳神経内科では、これらの書類のご相談に応じています。当院のリハビリテーションは、現在入院で行なっております。医療保険による外来リハビリテーションは、お近くの整形外科病院/クリニック院長先生宛に、ご依頼状を用意しております。

 

取り組み3 「パーキンソン病の外科治療」

取り組み3 「パーキンソン病の外科治療」
東邦大学医療センター佐倉病院では、脳神経内科と脳神経外科先生方とのコラボレーションにより、深部脳刺激療法のご相談に応じています。脳神経内科でまず検査入院をし、認知機能を含めた全身の評価を致します。その後、短い自宅待機の後、脳神経外科で手術入院を致します。車椅子で入院をされた方が、歩いて退院をされることも少なくありません。手術の後、ふたたび脳神経内科と脳神経外科の両科の外来に通院して頂いております。

歩行障害/パーキンソン病の公開講座

これまでの公開講座をご覧頂けますと幸です。

これまでの公開講座案内

お知らせ

  • パーキンソン病における下部尿路機能障害診療ガイドライン(2017年 日本排尿機能学会編集 佐倉病院脳神経内科 榊原隆次先生、大橋病院泌尿器科 関戸哲利先生が参加されました)が、Mindsガイドラインライブラリ パーキンソン病 に収載されました。同HPからご覧頂けますと幸です。

https://minds.jcqhc.or.jp/medical_guideline/guideline_list


 

取り組み4 「脳卒中連携パスと脳卒中の救急・外来」

東邦大学医療センター佐倉病院では、1991年(平成3年)の開設当初から、内科と脳神経外科による脳卒中診療が行われております。2007年、脳神経内科の新規開設に伴い、診療が拡充され、地域での脳卒中(救急車を含む)患者さんの受け入れに尽力しております。

脳血管障害は、全国で136万人の患者があり、65歳以上の高齢者の入院の原因としては、悪性新生物・心疾患を抜いて、本邦で最も多いと言われます。病型としては、出血や梗塞により、急激に片麻痺や意識障害をきたす脳卒中が代表的です。このうち、脳出血には中膜の異常に起因するクモ膜下出血と、生活習慣病に伴う動脈の粥(かゆ)状硬化に起因する脳内出血があります。脳梗塞も、動脈硬化に起因するものと、心房細動などに起因するものに分けられ、全体では脳梗塞の方が多くみられます。このうち脳梗塞の急性期治療として、虚血境界域の脳神経保護薬(エダラボン)、抗血小板薬(オザグレル酸)、抗凝固薬(Xa因子阻害薬)、発症から4.5時間以内に来院された中等度までの患者さんに対してtPA(組織プラスミノーゲン活性化因子)を、出血に気をつけながら慎重に投与致します。運動麻痺(発症から3か月間、改善が期待されます)・失語等に対して運動・作業・言語のリハビリテーションを行います。

厚生労働省が2008年に定めた脳卒中連携パス制度により、県内の多数のリハビリテーション専門病院のご協力を賜り、佐倉病院において脳卒中連携パスが始まりました。これらにより、適切なタイミングでのリハビリ専門病院への転院紹介が可能となり、2/3の患者さんが独歩での自宅復帰を獲得しています。


 

取り組み5 「脳卒ケアユニット(SCU)」

今回、長尾病院長先生(脳神経外科教授)の計らいにより、2017年10月、佐倉病院に脳卒中ケアユニット(エスシーユーSCU、stroke care unit)が誕生しました。6床からのスタートですが、脳神経外科・脳神経内科が協力して、365日、24時間、救急車を受け入れ、脳卒中の急性期医療を切れ目なく行うものです。SCUは、黒沼脳卒中専門看護師を中心として、脳神経内科医(榊原も月に3日間当直担当)・脳神経外科先生方はもとより、理学療法士の皆さん・病棟薬剤師さん、医療福祉士の皆さん、臨床工学技士さん・ケアの方々がタッグを組み、脳卒中死亡率および再発率の低下、在院期間の短縮、自宅退院率の増加、長期的なADL(日常生活動作)とQOL(生活の質)の改善を図ること(脳卒中治療ガイドライン)を目的としております。さらに、術前後の抗凝固薬の適切な使用、院内・院外への脳卒中予防の啓発・教育も視野に入れております。今後の佐倉病院SCUを、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 

取り組み6 「一次脳卒中センター(PSC)」

日本脳卒中学会より一次脳卒中センター(Primary Stroke Center : 以下PSC)に認定されました。PSCの認定要件としては、・24時間365日脳卒中患者を受入れ、急性期診療を開始できる・多職種からなる脳卒中専属チームが配属された病棟がある, などが挙げられています。
 

取り組み7 「脳卒中リハビリテーション看護認定看護師さん」(佐倉病院サイト)

 

取り組み8 「東邦大学佐倉病院からの発信と学術」

脳卒中・高齢者の方を対象とした東邦大学佐倉病院からの発信と学術活動として、以下の報告を行っています。今後、随時更新をしてまいります。認知症一般については、ぜひ下記のリンクをご覧ください。

脳卒中について

これまでの脳卒中を含めた学術活動全般については、下記のリンクをご覧ください。

認知症を含めた学術活動全般について 一部英語のものがございます

★脳卒中による奥行き・色彩感覚の障害
Depth perception disorder after left ventral occipital lobe infarction.
雑誌名Neurocase. 2016年; 22巻:2号, 248-250ページ

当院の脳卒中ケアユニット(SCU)メンバー(脳神経内科医師、脳神経外科医師、脳卒中専門看護師、臨床心理士、医療社会福祉士、理学療法士他)により報告されました。(図は、症状を細かく捉える決め手となる検査と、心理士の尾形さんです) 写真が趣味でセミプロ級の作品を作成されていた方が、突然の小さな脳卒中により、写真が絵本の様に見える・遠近感が無いといった高次視覚障害を呈しました。入院治療により、症状はすっかり改善しました。
検査に用いた視覚図 担当の臨床心理士尾形さん

 

取り組み9 「ちば脊髄小脳変性症・多系統萎縮症 患者と家族の会」

脊髄小脳変性症・多系統萎縮症は、パーキンソン病と共に重要な、厚生労働省特定疾患の一つです。特に多系統萎縮症は、運動障害のみならず睡眠時無呼吸・起立性低血圧・尿閉など広汎な自律神経不全を来すため、患者さんに寄り添う丁寧なケアが必要な病気といえます。佐倉病院脳神経内科は2011年から、全国脊髄小脳変性症・多系統萎縮症友の会(https://scdmsa.tokyo/chiho.html)千葉県支部・患者と家族の会の医療顧問をさせて頂いております。患者さんと共に歩んで行きたいと存じます。
(文責: 佐倉病院脳神経内科 榊原隆次)