脳神経内科

後期研修のオーバービュー(後期研修医および大学院生)

東邦大学医療センター佐倉病院神経内科での後期研修は、初期研修をさらに深める目的の他に、神経内科専門医を育成する目的があります。病棟研修の他に、外来初期研修として、初診患者さんの病歴・所見を取り、指導医の下で幅広い診断能力を身につけます。一方、神経学的救急、神経放射線、神経生理学、自律神経学、神経筋生検の各検査、神経リハビリテーションに習熟します。その過程で、意識障害・認知症・麻痺・しびれ・自律神経障害などをきたす、各疾患の病態と治療法を習熟します。研修の中で、各人により、特に興味のある病態・疾患が出てくるものです。これは、研究を始めるきっかけに他なりません。良き臨床医は研究マインドを持っているものです。すなわち、目の前の患者さんは、未解決の症状/問題を持っていることが少なくありません。臨床と研究は、大学病院では一対をなすものです。東邦佐倉神経内科では、後期研修の初期から、国内・国際学会での発表、論文作成を指導します。これらは、将来良き臨床医になるために、必ず役に立つものです。この時期に、専門医試験を目指した先生、大学院に入学した先生は、勉強と臨床の両立で大変だと思いますが、大いに頑張ってください。そして、将来必ず、目の前の患者さんに対してその知識と技能を返せるよう、医術に裏付けられた優しさのある、患者さんとともに歩む医者になるよう、指導医は、いつも君たちを応援しています。英国(クイーンスクエア、ロンドン)、米国(ペンシルバニア大学)を含めた海外留学も可能です。共に、地域に貢献し、広く発信してゆきましょう。

神経・精神疾患における消化管障害ベッドサイドマニュアル発刊のご案内

神経・精神疾患における消化管障害ベッドサイドマニュアル
東邦大学医療センター佐倉病院内科学脳神経内科の榊原隆次先生が、「神経・精神疾患における消化管障害ベッドサイドマニュアル」(中外医学社)を発刊されました。
以下はその序文です、少し長いですが、ご覧頂けますと幸甚でございます。

神経・精神疾患による消化管障害: ベッドサイドマニュアル

巻頭言

今回、中外医学社から「神経・精神疾患による消化管障害: ベッドサイドマニュアル」が発刊されることになりました。本書は、総合診療・一般内科、消化器内科・外科,神経因性排便障害を専門としない脳神経内科や精神科・心療内科、泌尿器科、脳神経外科・整形外科・リハビリテーション科、さらに患者さんに接する看護師、コメディカルの方々を広く対象に,薬剤性便秘、過敏性腸症候群も含めた神経因性排便障害に関する知識を,エキスパートの立場からわかりやすく解説する書です。総論的知識はもちろん,診断・治療のノウハウを実践的にまとめる,神経因性排便障害の診療ガイドブックができたように思います。

消化器内科・外科、泌尿器科の先生に広く知られておりますように、内視鏡で異常がない、いわゆる機能性疾患は、大きく脳神経内科的な病気と、精神科的な病気に分けられるように思います。脳神経内科的な病気とは、脳脊髄末梢神経筋に器質的異常があるために、消化器に異常をきたすものです。これには、脳神経外科の脳腫瘍・脳出血、脳神経内科の脳梗塞・パーキンソン病・認知症・多発性硬化症、整形外科の脊髄損傷、脳神経内科の末梢神経障害・ギランバレー症候群などが含まれます。症状は、胃もたれ・便秘などが多く、高度になりますとイレウスをきたすこともあります。痛みは通常伴いません。このうち、パーキンソン病は、通常の脳MRIで異常がみられませんが、最近、補助検査(心筋MIBGシンチグラフィー、脳ダットスキャン)で容易に画像診断をすることができるようになってきました。これらにかかわる自律神経系の機序として、norepinephrine [NE], acetylcholineとその末梢・中枢での制御物質(dopamine, serotonin, GABA, NE, opioidなど)が知られています。さらに、急性の脳疾患(クモ膜下出血、頭部外傷、脳卒中など、脳内ストレスとも言われます)は、自律神経系よりも、下記の情動系と同じcortisol, CRF系を介して、Cushing胃潰瘍をきたすことが知られるようになってきました。

精神科的な病気とは、慢性の心的ストレス(神経症・うつ病など)により、消化器に異常をきたすものです。症状は、機能性ディスペプシア・過敏性腸症候群などが多く、高度になりますと胃潰瘍をきたすこともあります。痛みをしばしば伴います。ストレスは、脳MRIで捕まえることができませんが、最近、PET検査や脳脊髄液等により、変化が捉えられるようになってきました。これらにかかわる情動系の機序として、cortisol, CRFなどが良く知られており、その制御物質(dopamine, serotonin, GABA, NE, opioidなど)は、中枢自律神経系と一部重畳しています。しかし、まだ診断マーカーが少ないことから、脳神経内科的な病気を十分に除外する必要があります。脳神経内科的な病気と、精神科的な病気の合併も、最近知られるようになってきました(うつ病とパーキンソン病の合併など)。

総論では、脳神経内科、泌尿器科および情動ストレスと上部・下部消化管症状、臨床オリエンテド上部・下部消化管の解剖・生理と受容体・薬理、腸内細菌叢、中枢自律神経系、中枢情動系、特徴的な消化器症状群としての胃潰瘍・機能性ディスペプシア・過敏性腸症候群、食道アカラシア、胃食道逆流症、特発性便秘、偽性腸閉塞(イレウス)・腸重積、宿便潰瘍、便失禁、他覚的検査としての上部・下部消化管の代表的検査、鑑別疾患としての器質性消化器疾患と薬物、治療として食事療法、運動療法、看護とケア、内科的治療、鍼灸治療、電気刺激、外科的治療について、第一線の先生方にご執筆を頂きました。

各論は、非常にバラエティに富みますが、脳の疾患については、重要で頻度も高いパーキンソン病・脳血管障害を、脊髄では脊髄損傷・二分脊椎を、末梢神経ではギラン・バレー症候群・糖尿病の項目を、まずご覧頂きますと、脳・脊髄・末梢神経の障害で、どのような排便障害をきたすのか、その場合どのように対処したら良いかが分かり易いように思います。高齢者の便秘と便失禁についても、全体像をまとめました。一方、特発性偽性腸閉塞、ミトコンドリア脳筋症、ヒルシュスプルング病といった、稀ながら遭遇する可能性のある疾患についても、簡略に触れています。

本書は、全体がコンパクト、コンサイスで、携帯にも便利であり、患者さんに実際に接する先生方、看護師さん、コメディカル、ケアに携わる方々に、必ず役に立つ一冊であると思います。本書をベッドサイドで手に取って頂き、知識の整理、治療・ケア方針の決定に役立つならば、望外の喜びです。なお本書は、中外医学社から出版されました「神経因性膀胱ベッドサイドマニュアル」の姉妹編でもあります。併せお手に取って御覧頂けますと幸いです。最後に、編集発刊に向け終始ご助言を賜りました、中外医学社 五月女謙一さんに心より深謝申し上げます。

2019年春
東邦大学医療センター佐倉病院脳神経内科教授
榊原隆次
東北大学心療内科教授
福土審

2018年6月 学生さん(医学部M2医学論文ユニット総説コース)がまとめられた文章が、「日本臨床」増刊号パーキンソン病(第2版): 基礎・臨床研究のアップデートに掲載されました。

2017年11月、佐倉病院神経内科研究室が、医学部の取材を受けました。

下記は東邦大学医学部広報誌「医学部ニュース」(2018年1月号)に掲載された、「突撃! となりの研究室~高インパクト論文著者インタビュー」記事です。
宜しければ御覧下さいませ。

医学部広報誌「医学部ニュース」(2018年1月号)より pdf