顔面神経麻痺
顔の筋肉(表情筋)の神経である顔面神経が障害されると、麻痺した側で眉が下がる、瞼が下がる、目が閉じなくなり炎症を起こす、頬・口元が下がる、笑う動作ができない、笑うと顔が大きく歪む、飲食物が漏れる、などの症状が出現し、日常生活や社会活動に大きな支障が生じます。また、ベル麻痺やハント症候群の後遺症として、顔の麻痺・こわばり・病的共同運動(口を動かすと目が閉じる、など)が混在する状態も多くみられます。このように、症状の種類や強さは麻痺の原因や経過時間で異なってきますが、形成外科的治療は症状や生活の質(QOL)を改善するのに役立ちます。
当科では、顔面神経麻痺専門外来(木曜日・第1土曜日 担当:林)を設置し、笑いの再建や顔面バランスの改善、麻痺後遺症の治療など手術を中心とした専門性の高い形成外科治療を行っています。以下に当科で行っている主な治療法をご紹介します。
1. 笑いの再建
顔面神経麻痺では笑う筋肉が麻痺するため対称的な笑顔を作ることができなくなり、安静時の顔は歪み、笑うと歪みがさらに大きくなります。当科では、オリジナル法も含め遊離筋肉移植術や筋肉移行術、神経移植術などで笑いを再現し、失われた笑顔を取戻す専門性の高い治療を行っています。
1) 遊離筋肉移植術
年月の経った陳旧性麻痺に対し、大腿や背中から筋肉を採取して血管を繋いで移植し、筋肉の運動神経も顔の運動神経(ドナー神経)と繋ぐ方法です。ドナー神経を健側の顔面神経とした場合、左右が同調した対称的で自然な笑いを作ることができます。
1) 遊離筋肉移植術
年月の経った陳旧性麻痺に対し、大腿や背中から筋肉を採取して血管を繋いで移植し、筋肉の運動神経も顔の運動神経(ドナー神経)と繋ぐ方法です。ドナー神経を健側の顔面神経とした場合、左右が同調した対称的で自然な笑いを作ることができます。
2) 筋肉移行術(島状側頭筋移行術)
側頭筋(咀嚼筋のひとつ)をその神経と血管を付けたまま口角部・上口唇に移行する方法です。遊離筋肉移植術に比べ手術侵襲が小さく、また術後の早い時期から口角を動かすことが可能になります。筋肉の特性上、当初は咬む動作で意識的に口角を動かす必要がありますが、多くの場合で長期的には咬む動作を意識しなくても口角を動かす(笑顔を作る)ことが期待できます。この手術の原法では側頭部と顔面(鼻唇溝)を切開する必要がありますが、当科では鼻唇溝切開に替わり頸部の切開で行う改良変法を開発し、広い年齢層の患者に受け入れられています。
側頭筋(咀嚼筋のひとつ)をその神経と血管を付けたまま口角部・上口唇に移行する方法です。遊離筋肉移植術に比べ手術侵襲が小さく、また術後の早い時期から口角を動かすことが可能になります。筋肉の特性上、当初は咬む動作で意識的に口角を動かす必要がありますが、多くの場合で長期的には咬む動作を意識しなくても口角を動かす(笑顔を作る)ことが期待できます。この手術の原法では側頭部と顔面(鼻唇溝)を切開する必要がありますが、当科では鼻唇溝切開に替わり頸部の切開で行う改良変法を開発し、広い年齢層の患者に受け入れられています。
3) 下口唇筋膜移植術
笑うための表情筋や下口唇下制筋の麻痺があると、笑う際や開口時に口唇は健側に引張られ大きく歪んでしまいます。上記の筋移植術や筋移行術だけでは下口唇の歪みを修正できない場合や、両側顔面神経麻痺で下口唇外反を呈している場合に筋膜移植術を併用することで、再建効果をさらに向上させることができます。筋膜は大腿外側から採取します。
笑うための表情筋や下口唇下制筋の麻痺があると、笑う際や開口時に口唇は健側に引張られ大きく歪んでしまいます。上記の筋移植術や筋移行術だけでは下口唇の歪みを修正できない場合や、両側顔面神経麻痺で下口唇外反を呈している場合に筋膜移植術を併用することで、再建効果をさらに向上させることができます。筋膜は大腿外側から採取します。
4) 神経移植術
麻痺発症から1~2年以内であれば神経移植により顔の筋肉の機能回復が見込まれるので、様々な形で神経移植術が行われます。
①ループ型神経移植術:耳下腺癌などで顔面神経が合併切除された場合、切断された顔面神経本幹と各分枝の断端を1本の移植神経(腓腹神経)をループ状に渡して再建する方法です。顔面神経本幹には神経端々縫合、各分枝には神経端側縫合を行うことにより、短時間で多くの分枝を再建することができます。
②半切舌下神経移行術:舌の運動神経である舌下神経を長軸に沿って半分割し、顔面神経本幹に縫合する方法です。安静時の表情筋に適度な緊張を与え、舌を歯の裏に押付ける運動で表情を作りますが、長期的には舌の運動を意識しなくても表情を作ることが可能になるといわれています。
③顔面交叉神経移植術:障害された顔面神経と健側の顔面神経の間を腓腹神経移植で繋ぐ方法です。神経が再生するまで4~6か月位かかりますが、健側と同調した顔面の動きを再現することが可能です。
麻痺発症から1~2年以内であれば神経移植により顔の筋肉の機能回復が見込まれるので、様々な形で神経移植術が行われます。
①ループ型神経移植術:耳下腺癌などで顔面神経が合併切除された場合、切断された顔面神経本幹と各分枝の断端を1本の移植神経(腓腹神経)をループ状に渡して再建する方法です。顔面神経本幹には神経端々縫合、各分枝には神経端側縫合を行うことにより、短時間で多くの分枝を再建することができます。
②半切舌下神経移行術:舌の運動神経である舌下神経を長軸に沿って半分割し、顔面神経本幹に縫合する方法です。安静時の表情筋に適度な緊張を与え、舌を歯の裏に押付ける運動で表情を作りますが、長期的には舌の運動を意識しなくても表情を作ることが可能になるといわれています。
③顔面交叉神経移植術:障害された顔面神経と健側の顔面神経の間を腓腹神経移植で繋ぐ方法です。神経が再生するまで4~6か月位かかりますが、健側と同調した顔面の動きを再現することが可能です。
2.下眼瞼形成術
下垂・外反した下眼瞼を持ち上げ、閉瞼障害とこれによる目の炎症を改善します。
1)下眼瞼の幅を詰める方法
緩んで外反した下眼瞼の一部を切除して縫合し、余剰の皮膚も切除して縫合して下眼瞼を持ち上げます。同時に筋膜や骨膜を下眼瞼に移植して補強することもあります。
1)下眼瞼の幅を詰める方法
緩んで外反した下眼瞼の一部を切除して縫合し、余剰の皮膚も切除して縫合して下眼瞼を持ち上げます。同時に筋膜や骨膜を下眼瞼に移植して補強することもあります。
2)筋膜または軟骨移植による方法
下眼瞼は麻痺により外反しているが、幅の緩みがない場合に行います。筋膜は大腿部から、軟骨は耳介から採取します。
3)アンカー法
小さい金属アンカーを目頭の内側に固定し、糸を下眼瞼に通して外反を修正する方法です。簡便な方法で、比較的程度の症例が良い適応です。
下眼瞼は麻痺により外反しているが、幅の緩みがない場合に行います。筋膜は大腿部から、軟骨は耳介から採取します。
3)アンカー法
小さい金属アンカーを目頭の内側に固定し、糸を下眼瞼に通して外反を修正する方法です。簡便な方法で、比較的程度の症例が良い適応です。
3.眉毛挙上術
下垂した眉を持ち上げ、顔のバランスを整えます。手術後はある程度の後戻りが予想されるので、予めやや多めに挙上します。
1)眉毛上皮膚切除法
眉毛上の皮膚を切除し持ち上げる方法です。簡便で効果が確実な方法であり、眉毛上に瘢痕が出来ますが目立つことはありません。
1)眉毛上皮膚切除法
眉毛上の皮膚を切除し持ち上げる方法です。簡便で効果が確実な方法であり、眉毛上に瘢痕が出来ますが目立つことはありません。
2)アンカー法
毛髪内の切開から内視鏡下に糸で眉毛を持ち上げ、金属アンカーで固定します。切開のキズが見えないのが特徴です。
毛髪内の切開から内視鏡下に糸で眉毛を持ち上げ、金属アンカーで固定します。切開のキズが見えないのが特徴です。
4. ベル麻痺やハント症候群の後遺症に対する治療
顔の麻痺・こわばり・病的共同運動(口を動かすと目が閉じる、など)が様々な程度に混在する病態です。個々の患者の病状に合わせ、顔面マッサージ指導、ボトックス注射、表情筋・顔面神経分枝の部分切除術、舌下神経-顔面神経間神経移植術など、最適な治療法を行います。