教育・研修

プログラムの概要(理念・使命・特色)

理念 【整備基準 1】

1) 基幹施設の理念
東邦大学医療センター佐倉病院(以下、佐倉病院)は、高度医療・専門性の高い医療を追及する大学病院であると同時に、佐倉市ならびに印旛市郡医療圏の地域医療を支える役割も担っています。佐倉病院において、内科学講座は、総合力と専門性を兼ね備えた内科医の育成を第一の理念とし、診療、研究、教育を実践しています。同講座は5つのグループより構成されていますが、上記理念をよりよく実現していくために、「内科は1つ」という考えのもと、診療、研究、教育において、常に協力しあう垣根のない体制を構築しています。


<東邦大学医療センター佐倉病院内科における各グループと「総合内科」>(図1)

佐倉病院内科は5つのグループから構成されています。これら5グループが、総合内科を協力して運営することで、1つの内科としてまとまっているのが、当内科の特徴です。
Aグループ(呼吸器、膠原病、アレルギー、感染症)
Bグループ(糖尿病、内分泌、代謝、血液、腎臓)
Cグループ(循環器)
Dグループ(消化器)
Eグループ(神経)

2) 本プログラムの理念
本プログラムは、上述の特色を有する、佐倉病院内科学講座を基幹施設として、千葉県内4か所の連携施設とで、内科専門研修を行うものです。本プログラムでは、各病院、各地域の実情に合わせた実践的な医療の研修を通じて、内科医としての総合力を身につけることに主眼を置きながらも、大学病院の医師として、リサーチマインドを持ち病態をより深く理解し、内科領域 Subspecialty 専門医研修へつなげていくことも重視しています。あわせて、高度な Generality という意味での専門性を追求する、総合内科・総合診療を志向する医師にも適合するプログラムでもあります。

使命 【整備基準 2】

1) 内科専門医として、(1)高い倫理観を持ち、(2)最新の標準的医療を実践し、(3)安全な医療を心がけ、(4)プロフェッショナリズムに基づく患者中心の全人的な内科診療を提供できる医師を目指して研修を行います。

2) チーム医療の1員として、責任感と協調性を両立できる医師を目指した研修を行います。

3) 大学病院の1員として、医療の発展に寄与すべく、リサーチマインドを持ち、臨床研究、基礎研究も意識した研修を行います。

特色

1) 本プログラムは、千葉県佐倉市の東邦大学医療センター佐倉病院を基幹施設として、千葉県内4か所の連携施設の協力の下、地域の実情に合わせた医療の実践的研修を受けつつ、高度な専門性のある医療も学ぶことのできるプログラムです。研修期間は原則として基幹施設2年間+連携施設1年間の3年間です。

2) 本プログラムには、当内科学講座への入局など、特定の条件はありません。内科の専門分野や将来の進路が決まってなくても参加できますし、修了後の他病院・他大学への進路が決まっていても問題ありません。

3) 本プログラムは、内科全体を3年間かけて学んでいく「内科基本コース」と特定の専門分野に比重を置いた研修を行う「subspecialty 重点コース」に分けられます。コースは途中で変更することも可能です。

4) 基幹施設である佐倉病院内科は、A~Eの5つのグループにわかれています。Aグループは、呼吸器、膠原病、アレルギー、感染症を主に扱います。Bグループは、糖尿病、内分泌、代謝、血液、腎臓を扱います。C、D、Eの各グループは、それぞれ、循環器、消化器、神経の分野を扱います。これらの5グループの協力で運営されている総合内科は、救急診療を中心とするプライマリケア、不明熱など診断が確定してない症例や複合的病態の症例の入院診療を受け持ちます。この総合内科を接点として、5つのグループが一体となっている点が特色です。

5) 佐倉内科で研修を受ける2年間、専攻医は常に「総合内科」に所属します。その上で、「主たる指導医」を5つのグループの医師が2~3か月ずつ交代で務めます。主たる指導医が、Cグループの医師である場合は循環器を、Eグループの医師である場合は神経内科を主に研修します。専攻医は総合内科に所属したままで、指導医が順番にまわってくるという考え方です。

6) 専攻医が、各診療科を順番にローテートするという方式であると、症例数の少ない分野の疾患、季節性のある疾患は全員にいきわたらず、また、診療科によって仕事量の差が大きくなりがちです。本プログラムでは、どの時期であっても、主たる指導医の専門分野以外の症例も必要により受け持つことが可能です。たとえば、Aグループの医師が主たる指導医であった期間に、膠原病の症例を十分に経験できなかった場合、他のグループ医師が主たる指導医となる別の時期に膠原病の症例を受け持つことが可能です。この場合には、Aグループの医師が、サブ指導医として指導します。また、主たる指導医が交代した後も、受け持ち中の症例は、そのまま担当を続けることができます。(症例数等により担当終了となる場合もあります。)

7) 本プログラムでは、上記の方式により、効率よく各分野の症例をもれなく経験することが可能であるため、専攻医は、2年間で必要な症例の経験を終えることができると予想します。修了要件を満たしたあとも、さらに、内科全体の研修を続けても構いませんし、subspecialty に重点を置いた研修にすすむこともできます。

8) 外来研修についても、当科の特色を生かした研修が可能です。肺炎で入院してきた患者が、未治療の高血圧と慢性腎臓病にり患していた場合、退院後、自分のフォローアップ外来に来させて、各専門医に相談しながら、これらの疾患の検査や治療をすすめ、最終的に近隣の診療所へ紹介するところまでを経験することができます。もちろん、すべての入院患者を自分でフォローアップするのではなく、指導医と相談して決めることができます。

9) 当院は、地域医療を支える病院であると同時に、高度医療を追及する大学病院でもあります。専攻医は、研修期間中に、内科学会を中心とする学会発表、論文での症例報告も、必要な指導を得て取り組んでもらいます。特に、subspecialty 重点コースの場合は、専門分野が決まり次第、専門領域の学会活動、研究活動への取り組みをはじめるよう、指導していきます。

10) 本研修プログラムでは、症例をある時点で経験するということだけではなく、主担当医として、入院から退院〈初診・入院~退院・通院〉まで可能な範囲で経時的に、診断・治療の流れを通じて、一人一人の患者の全身状態、社会的背景・療養環境調整をも包括する全人的医療を実践します。そして、個々の患者に最適な医療を提供する計画を立て実行する能力の修得をもって目標への到達とします。

11) 本研修プログラムの前提となるのは、いつでも誰にでも相談できるグループ間の垣根の低さであり、先輩後輩分け隔てなく相談できる風通しのよい環境です。そのような理想的な職場環境を提供致します。

専門研修プログラム冊子2021年用(東邦大学医療センター佐倉病院内科)