診療方針

1.糖尿病網膜症や網膜剥離などを治療する「網膜硝子体手術」を高レベルの技術で施行。認定指導医によるトレーニング制度で臨床医の育成にも注力

佐倉病院 眼科は、糖尿病網膜症、網膜剝離などに代表される難治性の「網膜硝子体疾患」の治療をとくに得意分野としています。網膜硝子体疾患を専門とする5名の医師(2020年3月現在)が中心となり治療を行い、網膜硝子体手術では年間700件以上の治療実績を有しています。
そもそも網膜硝子体疾患とは、眼球の中にある「硝子体」という透明なゼリー状の組織が炎症や出血などによってにごったり、網膜が引っ張られて剥がれたりすること等が原因で起こる病気です。視力の低下やものの見え方に変化が生じるなどの症状があるほか、重症の場合は失明の恐れもあります。そこで異常を起こしている硝子体を取り除き、網膜を治療するために行うのが、網膜硝子体手術です。
網膜硝子体手術は、主に次のような方法で行います。
①局所麻酔後、眼球に小さな穴を3ヵ所(眼内照明に使う光ファイバー用、硝子体を切断吸引するカッター用、灌流液用)開ける。
②光ファイバー用とカッター用の穴からそれぞれ細い器具を挿入し、眼の中の出血やにごりを硝子体とともに取り除く。
③網膜などに処置を施し、取り除いた硝子体の代わりとなる灌流液を穴から補充する。
この手術は眼科の中で最も難易度が高いとされ、硝子体の切除の仕方や網膜の扱い方などによっては重篤な合併症が起こる可能性があるなど、リスクも伴います。
そのため手術は、数多くの手術経験があり、熟練した技術をもつ医師が行うことが必須となります。

佐倉病院 眼科には、日本眼科学会より認定されている指導医3名と専門医6名が在籍し(2020年3月現在)、手術を行っています。月曜日から金曜日まで、外来には必ず最低でも1~2名の専門医が常勤しているため、緊急手術が必要な患者さんなどに対しても迅速に対応しています。なお、土曜日の外来は交替制ですが、必要に応じて緊急手術も行っています。

また、当科の医師全員が高い技術で難治性眼疾患の手術を行えるようになることを目指し、当科では自主的に3年間の網膜硝子体手術プログラムを設け、臨床医の育成にも力を入れています。このような認定指導医による手術のトレーニング制度を設けており、県外の施設などからも当科に研修にこられる医師もいます。
患者さんに質の高い最良の医療を提供するため、眼科医一同、日々レベルアップに努めています。

2.最新の医療機器を用いた最先端の治療で、患者さんの身体への負担をできる限り抑えた低侵襲手術を施行

眼疾患の検査方法や治療方法は日進月歩で進化しています。患者さんに安心して治療を受けていただけるよう、当科では常に最新の設備を整え、最先端の診断や治療を行っています。
たとえば「1」で述べた「網膜硝子体手術」は、従来は直径0.9mmのゲージで切開していましたが、現在は直径0.5mm程度の25ゲージを用いた手術を行っています。ゲージが細くなったことで傷も格段に小さくなり、以前は必ず行っていた切開後の縫合も不要になりました。痛みはゼロではありませんが、手術時の出血等も少なく、術後の回復も早いという特長があります。入院期間も短くて済むため、早期の社会復帰も可能です。
また、手術の前後の眼底血流の測定などに用いる「レーザースペックル」も当科ではいち早く導入しました。レーザースペックルは、眼疾患のみならず、動脈硬化によって眼内の循環がどう変化するかなど、幅広い診断や評価に役立つ検査機器です。患者さんの身体に負担をかけることなく、極めて簡便に測定できるのもメリットのひとつです。
しかしながら国内でも導入している医療機関がまだ限られている検査機器であることから、当科では「眼科レーザースペックル研究会」を立ち上げ、年1回、全国の眼科医らとレーザースペックルの知識や技術を共有する機会を設けています。

3.大学病院、そして医療センターという強みを生かし、内科を含むトータルな治療や難治性の高い緑内障や角膜疾患などにも対応

佐倉病院 眼科を受診される患者さんのおよそ9割の方が、重症の眼疾患を抱えています。症状によっては外来で診断後、その日のうちに入院および手術が必要となることもあります。そうした場合にタイムロスが発生しないよう、病院全体として緊急対応できる体制が整っていることも、佐倉病院の大きな特色のひとつといえます。
眼疾患の中でも糖尿病網膜症のような、血糖値コントロールなど内科的治療も必須の疾患については、当院の「糖尿病・内分泌・代謝センター」と連携し、適切な治療を行っています。
糖尿病以外にも高血圧など、眼疾患の中に隠れている全身の病気は数多くあります。そのように複数の疾患が発見された場合にも、各診療科との万全な協力体制のもと、トータルな治療をスムーズに行うことができるのも当院の強みのひとつです。
また、「東邦大学医療センター」というひとつの“チーム”として、大森病院、大橋病院の眼科とも連携しています。
当科では月1回、角膜疾患を主体とする専門外来を開設していますが、その診療にあたるのは大森病院眼科 診療部長の堀裕一教授です。堀教授は角膜、オキュラーサーフェス(眼表面)を専門とし、数多くの角膜移植手術の経験を有しています。堀教授が佐倉病院 眼科に在籍していた2009年4月から2014年3月までの間に構築された角膜移植システムや、角膜疾患の治療の技術やノウハウは当科に継承されていますが、重症の角膜感染症など難治性の角膜疾患については、堀教授の最終的な診断のもとに治療を行っています。
角膜専門外来についてはまず佐倉病院眼科で診察を受けていただいたうえで、必要に応じて専門外来や特殊外来に予約を入れていただき、受診していただくシステムになっています。