教育・研修

新プログラム

千葉県央地域泌尿器科専門研修プログラム「さくら」

日常診療能力や手術技術の向上は当然ですが、よき社会人として、豊かな人間性とバランスのとれた知識を身につけ、それを適切に患者さんに提供できる良き臨床医の育成が大きな目標です。さらに、大学病院の使命である研究に関しても、目的をよく理解して、知識と技術とを十分に駆使することができる良識ある医学研究者の養成が重要と考えます。

後期研修のひとつの目標は、まず泌尿器科専門医の取得です。以下に、一般社団法人・日本専門医機構に承認された東邦大学医療センター佐倉病院泌尿器科を基幹施設とした専門研修プログラムを掲載します。佐倉病院を中心とした約10の教育関連施設を中心に泌尿器科専門研修を行っていきます。

千葉県央地域泌尿器科専門研修プログラム「さくら」(抜粋)

理念と使命

(1)泌尿器科専門研修プログラムの目的
泌尿器科専門医制度は、医の倫理に基づいた医療の実践を体得し、高度の泌尿器科専門知識と技能とともに地域医療にも対応できる総合的診療に必要な基本的臨床能力を修得した泌尿器科専門医の育 成を図り、国民の健康増進、医療の向上に貢献することを目的とします。
千葉県央地域泌尿器科研修プログラムでは、特に印旛を中心にして東葛南部および千葉市の3つの2次医療圏から構成される診療圏(以下、千葉県央地域と称します)における地域医療にも対応できる総合的診療に必要な基本的臨床能力を修得した泌尿器科専門医の育成を図る事も目的としています。また、泌尿器科におけるサブスペシャリティー領域(ロボット支援手術・小児泌尿器科など)の研修も考慮して専門性の高い研修施設(千葉県がんセンター・千葉県こども病院など)とも専門研修施設群を構成する事で、地域医療と専門医療の両面へ配慮されたバランスのよい優れた泌尿器科専門医の育成を行う理念に基づいています。

(2)泌尿器科専門医の使命
泌尿器科専門医は小児から成人に至る様々な泌尿器疾患、ならびに我が国の高齢化に伴い増加が予想される排尿障害、尿路性器悪性腫瘍、慢性腎疾患などに対する専門的知識と診療技能を持ちつつ、高齢者に多い一般的な併存疾患にも独自で対応でき、必要に応じて地域医療との連携や他の専門医への紹介・転送の判断も的確に行える能力を備えた医師です。泌尿器科専門医はこれらの診療を実践し、総合的診療能力も兼ね備えることによって社会に対する責務を果たし、地域医療にも配慮した国民の健康・福祉の増進に貢献します。

千葉県央地域泌尿器科専門研修プログラムの特色

千葉県央地域(印旛・東葛南部・千葉市の3つの2次医療圏)では 印旛72万人、東葛南部171万人、千葉市76万人の合計320万人の人口が 在住しています。特に印旛 においては佐倉市のほか9つの地方自治体(7市2町)から形成される2次診療圏で人口約72万人を有するものの、北総を中心に一部医療過疎の地区も含有しています。本プログラムの研修に関しては、印旛市郡での3つの地域中核病院である東邦大学医療センター佐倉病院(本専門研修プログラムの基幹 研修 施設 ・地域医療支援病院に認定 )・日本医科大学千葉北総病院(がん診療連携拠点病院に認定)・成田赤十字病院(地域医療支援病院に認定)を中心とした 専門 研修施設群のほか、東葛南部および千葉市内の医療機関群と連携して泌尿器科の研修をする事で、泌尿器科の幅広い研修に対応しています。
本専門研修プログラムの施設群では、実際に千葉県央地域における約150万人(滋賀県や山口県に相当)に対する 泌尿器科疾患に対応しており、腹腔鏡手術をふくめた年間3000~4000例の泌尿器科腫瘍・尿路結石・前立腺疾患などの幅広い領域にわたる一般的もしくは専門的泌尿器科手術を行っているほか、救急疾患をはじめとする泌尿器科疾患にも対応しています。
特に、泌尿器科におけるサブスペシャリティー領域(ロボット支援手術・小児など)の研修も考慮し、千葉市内の専門性の高い研修施設(千葉県がんセンター・千葉県こども病院など)とも専門研修施設群を構成する事で、地域医療と専門医療の両面へ配慮する事で、 バランスのよい優れた泌尿器科専門医を育成する事を特色としています

専門知識・専門技能の習得計画

(4)臨床現場での学習
千葉県央地域 泌尿器科研修プログラム では bed side や実際の手術での実地修練 (on the job training) に加えて、広く臨床現場での学習を重視します。具体的には以下のような項目を実施します。1週間の具体的なスケジュールを以下に示します。

専攻医研修ローテーション

(1)基本的な研修ローテーションに関して
千葉県央地域泌尿器科研修プログラムでは、4年間の研修期間のうち初年度と4年目の合計2年間を研修基幹 施設で ある東邦大学医療センター佐倉病院で 研修する事としています。残りの2年間に関しては、原則、拠点教育施設を満たす研修連携施設での研修となりますが、本人の希望や研修の進み具合に応じて、研修基幹施設での研修を最大3年間までは許容します。したがって原則的には2-3年目を研修連携施設で研修し4年目に研修基幹施設に戻って研修しますが、本人の希望や研修の進み具合により2年目以降の研修先に関しては専門研修プログラム管理 委員会で決定することとします。
本プログラムの研修に関しては、印旛市郡での3つの地域中核病院を中心とした研修施設のほか、隣接した東葛南部および千葉市内の専門性の高い医療機関と連携して泌尿器科の研修をする事で、泌尿器科医としての多彩な専門研修の実現と偏りのない診療経験の獲得と地域医療への貢献を可能としています。
年次毎の研修計画については、「5. 専門知識・専門技能の習得計画(3)年次毎の専門医研修計画」を参照してください。

(2) 研修連携施設について
千葉県央地域泌尿器科研修プログラムに属する研修連携施設は11施設日本医科大学千葉北総病院・成田赤十字病院・千葉県済生会習志野病院・千葉県がんセンター・みはま病院・千葉県こども病院・山王病院・千葉中央メディカルセンター・聖隷佐倉市民病院)の日本泌尿器科学会の認定する拠点教育施設 と日本泌尿器科学会に認定された関連教育施設(セコメディック病院)と教育施設に認定されていない(四街道徳州会病院)施設があります。
専門医研修の期間中は臨床経験を豊富にこなす必要がある観点から基本的には上記の拠点教育施設を満たす研修連携施設(9施設)での研修を基本としますが、同時に関連教育施設として位置づけられる施設や、以下に述べる研修協力施設へも定期的に出向し地域医療の現状について理解する事も重要です。周辺の医療施設との病診・病病連携の実際を経験して実践することによって社会に対する責務を果たし、地域医療にも配慮した国民の健康・福祉の増進に貢献することの重要性を理解し修得する事となります。
また、7つの日本泌尿器科学会の関連教育施設と教育施設に認定されていない、もしくは泌尿器科医が常勤していない研修協力施設(みはま佐倉クリニック・みはま成田クリニック・佐倉中央病院・日吉台病院・セントマーガレット病院・山野病院・東葉エアポート泌尿器科)では、外来診療を中心に派遣で行っています。

(3)研修協力施設について
前項で述べた通り、本プログラムでは、研修連携施設ではないが、泌尿器科専門研修に必要な特徴・診療内容を有する7つの研修協力施設が、専攻医の研修に協力してくれます。

日本泌尿器科学会のホームページに当院を基幹施設とした<千葉県央地域泌尿器科専門研修プログラム「さくら」>は掲載されています。
https://www.urol.or.jp/specialist/system/prog_kanto.html#chiba

専門医取得後の進路について

  1. 学位・大学院と海外留学について:学位は、基本的に泌尿器科専門医取得後からテーマを決めて取得に努めることになります。ただし、大学院希望者については、専門研修開始3年目以降、希望に沿った大学院カリキュラムを選択できます。臨床研修に遅れがでないように、教授・医局長と相談しながら、診療と研究の視点から優れた研究者を育成するように配慮されます。
  2. 海外留学について:希望者は泌尿器科専門医ならびに学位取得後に、個人の研修状況を考慮しながら、海外研修を行えるようになっています(米国Johns Hopkins大学・North Carolina大学など)。
  3. 専門医取得後の進路について:大学でのスタッフ・研究者、一般病院での臨床医、開業医など、各個人の将来の希望に沿って、教授と面談のうえ決めていきます。泌尿器科は診療範囲が広い事から、専門とする領域についても個人の希望もふくめて相談のうえ、決まります。