患者さんへ

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対象疾患

当科で診療している主な疾患

1)肺癌・胸部悪性腫瘍

(診断)
最新の気管支鏡システムを用いた気管支鏡検査に加え、
  • 超音波気管支鏡(EBUS-TBNA・EBUS-GS)
  • CTガイド下肺生検
  • 局所麻酔下胸腔鏡検査(胸膜生検)
などを組み合わせ、迅速かつ正確な診断に努めています。
治療方針は、毎日の呼吸器内科カンファレンスに加え、呼吸器外科・放射線科・病理診断科との合同カンファレンスで十分に検討したうえで決定しています。

(外科治療)
手術適応がある患者さんについては、診断・病期評価を呼吸器内科で行った後、呼吸器外科と協議し、最適な治療時期・術式を決定します。

(放射線治療)
放射線科と連携し、
  • 早期肺癌に対する定位放射線治療(SBRT)
  • 局所進行肺癌に対する化学放射線治療
  • 脳転移に対する定位照射・全脳照射
  • 骨転移などに対する緩和照射
を実施しています。
局所進行肺癌では、化学放射線療法後に免疫チェックポイント阻害薬による地固め療法も積極的に行っています。

(薬物療法)
肺癌の薬物療法は近年著しく進歩しており、患者さんごとの遺伝子異常や腫瘍の特徴に応じた個別化医療が標準となっています。
当科では、
  • 細胞障害性抗がん薬(従来の抗がん剤)
  • 分子標的治療薬
  • 免疫チェックポイント阻害薬
  • 抗体薬物複合体(ADC)
  • 二重特異性抗体などの新規治療
を含め、最新の標準治療を提供しています。
また、EGFR、ALK、ROS1、BRAF、MET、RET、NTRK、KRAS、HER2などのドライバー遺伝子異常やPD-L1発現を評価しています。
副作用管理についても、消化器内科、循環器内科、糖尿病・内分泌内科、神経内科、腎臓内科、皮膚科、など院内各診療科と連携し、安全な治療に努めています。

(緩和ケア)
緩和ケアは終末期医療だけではなく、診断時から治療と並行して行う重要な医療です。当科では、緩和ケアチームと連携し、身体症状の緩和だけでなく、精神的・社会的支援にも取り組んでいます。
病状の進行に応じて、在宅医療機関や地域の緩和ケア病棟とも密接に連携し、患者さんとご家族の希望を尊重した医療を提供しています。

2)間質性肺炎

特発性肺線維症(IPF)、進行性肺線維症(PPF)、膠原病関連間質性肺疾患(CTD-ILD)、慢性過敏性肺炎など、さまざまな慢性間質性肺疾患の診療を行っています。

診断には、高分解能CT(HRCT)、呼吸機能検査、気管支鏡検査(気管支肺胞洗浄・経気管支肺生検)、自己抗体検査などを組み合わせ、より正確な診断に努めています。

治療は疾患ごとの病態に応じて選択し、特発性肺線維症(IPF)や進行性肺線維症(PPF)に対しては、ニンテダニブやピルフェニドンによる抗線維化療法を積極的に導入しています。また、膠原病関連間質性肺疾患などでは、ステロイド剤、免疫抑制療法、抗線維化薬を適切に組み合わせた治療を行っています。

また、急性増悪時には集中治療室(ICU)とも連携し、重症呼吸不全に対する集学的治療にも対応しています。

3)急性呼吸不全

重症肺炎、間質性肺炎、気管支喘息重積発作、COPD急性増悪などによる急性呼吸不全に対し、24時間体制で対応しています。

重症例ではICUと連携し、高流量鼻カニュラ(HFNC)、非侵襲的陽圧換気(NPPV)、人工呼吸管理など、患者さんの病態に応じた呼吸管理を行っています。

4)気管支喘息・重症喘息

気管支喘息は、吸入ステロイド薬(ICS)を中心とした吸入療法により、多くの患者さんで良好なコントロールが得られます。一方で、高用量ICS/LABAなどの標準治療を十分に行っても症状や増悪を繰り返す「重症喘息」では、より専門的な診療が必要となります。

当科では、呼吸機能検査、呼気一酸化窒素(FeNO)測定、血液中好酸球数、総IgE値・特異的IgE検査、画像検査などを組み合わせ、喘息の病態(Type 2炎症の有無など)を詳細に評価したうえで、一人ひとりに最適な治療を選択しています。また、吸入手技やアドヒアランス、併存疾患(慢性副鼻腔炎、好酸球性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、胃食道逆流症、肥満など)の評価・治療にも積極的に取り組んでいます。

重症喘息に対しては、生物学的製剤を積極的に導入し、病態に応じた個別化医療を実践しています。
  • 抗IgE抗体(オマリズマブ)
  • 抗IL-5抗体(メポリズマブ)
  • 抗IL-5受容体α抗体(ベンラリズマブ)
  • 抗IL-4/IL-13受容体抗体(デュピルマブ)
  • 抗TSLP抗体(テゼペルマブ)
それぞれの薬剤の特徴や適応を十分に評価し、増悪の抑制、経口ステロイドの減量、肺機能の改善、QOL(生活の質)の向上を目指した治療を行っています。

また、当科は重症喘息だけでなく、好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)、アレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)などのType 2炎症関連疾患の診療にも積極的に取り組んでおり、膠原病内科、耳鼻咽喉科、皮膚科などと連携しながら包括的な診療を提供しています。 

5)肺炎・呼吸器感染症

当科では、市中肺炎、院内肺炎をはじめ、肺膿瘍、膿胸、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などのウイルス性肺炎、肺真菌症など、幅広い呼吸器感染症の診療を行っています。

患者さんの年齢、基礎疾患、重症度、耐性菌リスクなどを総合的に評価し、喀痰培養、血液培養、尿中抗原検査、FilmArray®呼吸器パネルをはじめとした迅速遺伝子検査、各種PCR検査、気管支鏡検査などを適切に組み合わせ、可能な限り早期に原因微生物を同定し、適切な抗菌薬・抗ウイルス薬・抗真菌薬治療につなげています。

重症肺炎や敗血症を合併した症例、人工呼吸管理を要する症例については、救急部・集中治療室(ICU)と密接に連携し、高流量鼻カニュラ(HFNC)、非侵襲的陽圧換気(NPPV)、人工呼吸管理などを含めた集学的治療を行っています。

また、感染対策チームと連携し、抗菌薬適正使用を推進するとともに、耐性菌対策にも積極的に取り組んでいます。免疫不全患者や難治性呼吸器感染症にも対応し、退院後は地域医療機関と連携しながら再発予防やワクチン接種を含めた継続的な感染管理を行っています。

6)非結核性抗酸菌症

肺MAC症をはじめとする非結核性抗酸菌症(NTM)の診療を積極的に行っています。

画像所見、喀痰検査、気管支鏡検査などをもとに総合的に診断し、病状や画像所見、症状、年齢、併存疾患を考慮して、経過観察または薬物療法を選択しています。

薬物療法では、クラリスロマイシン(またはアジスロマイシン)、エタンブトール、リファンピシンを基本とした標準治療を行っています。難治例や再治療例では、アミカシンリポソーム吸入懸濁液(アリケイス®)を含めた治療も積極的に導入し、病状に応じてアミノグリコシド系薬剤や外科的切除を組み合わせた集学的治療を行っています。

また、非結核性抗酸菌症に関する臨床研究にも積極的に取り組み、最新のエビデンスに基づいた診療を実践しています。

7)肺高血圧症

肺高血圧症は、呼吸器疾患、膠原病、慢性血栓塞栓症などさまざまな原因で発症します。

当科では原因検索を行い、循環器内科と連携しながら診療を進めています。必要に応じて肺高血圧症専門施設への紹介も行っています。

8)気胸

自然気胸、続発性気胸、難治性気胸まで幅広く診療しています。

呼吸器外科と密接に連携し、手術適応を検討するとともに、保存的治療、胸膜癒着術、気管支充填術など、それぞれの病態に応じた治療を行っています。

9)慢性呼吸不全

COPD、間質性肺炎、肺切除後などによる慢性呼吸不全に対し、包括的な診療を行っています。

在宅酸素療法(HOT)、在宅非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)の導入・管理に加え、呼吸リハビリテーションや栄養管理も含めた長期的な支援を行っています。

増悪時には速やかに入院治療を行い、必要に応じて人工呼吸管理や集中治療にも対応しています。

10)その他の呼吸器疾患

COPD、気管支拡張症、サルコイドーシス、膠原病関連肺疾患、肺リンパ脈管筋腫症(LAM)、びまん性汎細気管支炎、真菌感染症など、幅広い呼吸器疾患を診療しています。

診断が難しい症例や希少疾患についても、各診療科と連携しながら、最新の知見に基づいた診療を提供しています。

Ⅱ 他医療機関と連携して対応している疾患 

1)気管支喘息

気管支喘息は、患者数の多い一般的な疾患ですが、時に他の疾患と区別が難しい場合もあり、正確な診断が必要です。診断が確定されたあとは、急性疾患としての発作時の治療に引き続いて、慢性疾患としての日常管理、発作の予防を行っていきます。タバコや、ハウスダスト等の各種アレルゲンなど、悪化の要因を取り除けるようサポートをした上で、ステロイド吸入(看護師および院外薬局の薬剤師が吸入指導をしています)を中心とした、慢性疾患としての治療を行っていきます。診断と治療方針決定後は、お近くの先生への紹介とさせていただきます。(難治性気管支喘息については、Ⅰ-4)を参照ください。)

2)気管支拡張症

(非結核性抗酸菌症については、Ⅰ-6)を参照ください。

気管支の一部が拡張して痰が貯留し、慢性的な炎症を起こす疾患です。原因は多彩で、乳幼児期の肺炎などの後遺症による場合、各種の先天的な異常による場合、リウマチなどの自己免疫疾患に伴う場合など、様々ですが、いずれの場合も、正常の状態に戻すことはできません。程度は様々で、全く症状のない場合、時に血痰や喀血がみられる場合、慢性的に咳、痰がみられる場合などがあります。まれに手術の対象になる場合もありますが、経過観察か、内服で様子をみる場合が大半であり、病状が安定していれば、お近くの先生へ紹介とさせていただいております。 

3)慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺気腫

身体診察、胸部HRCT,精密肺機能検査等を行い、心疾患との鑑別などにも注意し、正確な診断を心がけています。COPDの原因の大半が喫煙であることから、喫煙中の方には、まず、禁煙指導からはじめています。禁煙がどうしても困難な場合は、禁煙外来で、専属の看護師と医師がサポートいたします。診断と治療方針決定後は、お近くの先生への紹介とさせていただきます。(在宅酸素が必要な症例は慢性呼吸不全の項を参照)

4)慢性気管支炎

慢性に咳、痰が続く場合で、喫煙に関連するもの、喘息に関連するもの、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に合併するもの、気管支拡張などの気管支・肺の形態異常に伴うもの、にわけられます。禁煙、合併症に対する治療の他は、対症療法が基本であり、治療方針決定後は、お近くの先生への紹介とさせていただきます。(在宅酸素が必要な症例は慢性呼吸不全の項を参照)

5)結核

結核は現在でも、重要な疾患であり、高齢者や糖尿病などの基礎疾患のある方はもちろん、健康な若年者での発症も決して珍しくはありません。重症化すれば生命にも関わりますが、早期に発見できれば、外来で比較的容易に治療できる場合もあります。咳の長引く場合(2週間を目安)は、レントゲン検査をするなどして、早期の発見に努めています。

「排菌」をしている場合は、法令の規定により隔離入院が必要になります。結核である事がわかっている患者様、特に排菌が明らかな患者様は、当科で受け入れる事はできません。当科受診後に結核である事がわかった患者様は、結核専門病床を有する他の医療機関に紹介しております。当院外来で治療が可能な場合もあります。

6)結核後遺症や手術による拘束性換気障害

結核や癌のため肺を切除したり、胸膜が癒着するなどの原因で、肺活量が落ち、息切れなどの症状を起こす疾患です。側湾症などによる胸郭の変形が原因の場合もあります。COPDと間違えられている場合が少なくありませんが、治療方針や対処法は異なります。

心臓への負担から肺高血圧症にもなりやすいですが、早期の酸素療法や、夜間の鼻マスク式人工呼吸などの導入で、予後が改善する事が多く、正確な診断が必要です。(在宅酸素が必要な症例は慢性呼吸不全の項を参照)経過観察のみの場合は、お近くの先生へ紹介させていただいております。

7)睡眠時無呼吸症候群

外来での簡易型検査や入院での精密検査により睡眠時無呼吸検査を施行しています。長期の治療が必要になる疾患です。当科では診断と初期治療方針の決定までを行い、以後は、お近くの医療機関へ紹介させていただいております。

Ⅲ 当科での対応が困難な疾患

1)いわゆる「かぜ」

かぜは、呼吸器の入り口である上気道の感染症であり、広い意味での「呼吸器疾患」になります。多くの呼吸器疾患は「風邪」症状で始まることから、軽視しすぎてもいけませんが、かぜの大半は、自然に、または最小限の投薬で治癒に向かうものですので、経過をみて判断していくことが重要です。まずは、お近くの医院におかかりになり、必要な場合に、ご紹介いただく事が、診療を円滑にすすめる上で重要と考えます。

2)禁煙の意思のない方(特に、気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患)

喫煙は多くの呼吸器疾患の原因であり、すべての呼吸器疾患を増悪させます。特に気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患の患者さんにとって、禁煙は最も重要な治療です。

治療をして症状が改善することで、喫煙を継続・再開される方もいらっしゃいます。しかし、それでは、喫煙を継続するためのお手伝いを私どもが行うことになります。気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患の治療を当科で行う際には、禁煙することを約束していただいております。禁煙する意思のない場合は、診療をお断りさせていただきます。

3)介護関連肺炎、誤嚥性肺炎

脳血管障害のある方や高齢者に多い「誤嚥性肺炎」は、反復しやすく、長期療養・介護が必要になる場合が多く、最近は「介護関連肺炎」として、とらえられています。高齢化社会を背景に、非常に増加しており、社会的にも医学的にも非常に重要な疾患です。
しかし、「介護関連肺炎」には、呼吸器内科としての専門的検査、治療よりも、リハビリ、在宅療養、介護サービスを含めた長期的対応が必要です。当科のベッド数は限られており、長期の入院へは対応できません。そのため、当科に入院した場合、結果的に患者様やご家族にも、かえってご迷惑をおかけする事になります。そのため、介護関連肺炎のための入院、転院依頼は、全てお断りさせていただいております。救急搬送例につきましても、早期に、他院へ転院をお願いしております。重症例であっても同様です。
また、神経疾患や悪性腫瘍などの「原疾患(持病)」をお持ちの方が、その病気がある事と関連して、肺炎を併発してくる場合があります。そうした患者さんは、とても多いこと、また、原疾患に対する対応と不可分な事があることから、当科ではなく、原疾患でおかかりの診療科や病院に対応をお願いする事があります。

IV. アレルギー疾患について

アレルギーとは、本来、体を守るべき免疫システムが体に害をもたらす方向に働いてしまう状態です。花粉症、アトピー皮膚炎、アトピー型気管支喘息のように、アレルギー原因物質に免疫システムが過剰反応して起こる、狭い意味の「アレルギー疾患」と、免疫システムが自分自身に働いてしまう「自己免疫疾患(膠原病が代表的)」にわけられます。

当科には、アレルギー・膠原病専門医の熊野医師が所属している他、アレルギー学会専門医が複数おり、アレルギーに関する専門診療も可能ではありますが、医師数、患者数、また、他の医療機関の状況から、2020年1月現在、アレルギー疾患については、気管支喘息や、膠原病による間質性肺炎など、「呼吸器疾患」に含まれるものを主な対象としております。

V. 禁煙外来について

喫煙は、多くの呼吸器疾患の原因であり、ほとんどの呼吸器疾患の増悪因子です。喫煙は、自分だけでなく、まわりの人の気管支や肺にも障害を与えます。全ての呼吸器疾患患者は、禁煙をするべきと考えております。禁煙が自力や市販薬では難しい場合は、禁煙外来にて、医師と専属看護師がお手伝いをします。2006~2009年までに当院の禁煙外来を受診された方で禁煙外来通院3ヶ月間の禁煙成功率は66%です。禁煙をするという本人の強い意思であることはもちろんです。
木曜日午後のみの対応で、混み合っているため、お近くの医療機関への受診をおすすめする場合もあります。 

お問い合わせ先

東邦大学医療センター
佐倉病院 呼吸器内科

〒285-8741
千葉県佐倉市下志津564-1
TEL:043-462-8811(代表)