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副センター長ご挨拶

新米副センター長、歩きながら考える

看護キャリア支援センター 副センター長 中 章江

新米副センター長、悩みからの出会い

私は4月から看護キャリア支援センターに配属となった。東邦大学の看護関係者たちの教育支援という私にとっては大きな課題を前に、ここでの私のできることはなんだろうと考えていたとき、大森病院看護師 土田さんを1日追いかけるチャンスをいただいた。
 土田さんは新卒で入職し4年目になる。土田さんは「学生時代の実習の辛い体験から看護師になる自信を無くしていた私を支えてくれたプリセプターや先輩のように、後輩を支えていきたい。」という思いを持って、プリセプターの役割を担っている。看護師としての仕事については「ある程度自分の判断で業務ができるようになり仕事が楽しくなってきた。今年からリーダー業務も始まったが、急変時の対応の経験が少なく、特に夜勤のリーダーで急変にあたったら対応できるのかとても不安だ」という。また、忙しい毎日の中で患者さんにゆっくり対応ができず申し訳なさも感じている。今後はさらに幅広い知識や技術を持った看護師になるために違う部署で色々な経験を積みたい、先々の将来には訪問看護や緩和ケアも勉強したいと未来への希望を語ってくれた。
 土田さんの話を聞きながら記憶を掘り起こし、4年目の頃の私や、病棟で一緒に働いた4年目看護師の顔を思い浮かべていた。看護師としてある程度自立し、周囲にも頼りにされ、成長しようとやる気に満ち溢れながら、増えていく責任に不安も感じている。所属部署に関係なく、みなが一度は通ってきた4年目という道程。特別ではなくまさに今、土田さんはその道程を歩いているのだと感じた。

それは看護ですよ

 1日土田さんを追いかけていた中で印象に残ったのは、土田さんが常に患者さんの退院後の生活を視野に入れ、患者さんの持てる力を生かし自立を支えようと関わっていることだった。
 その日の担当患者さんの一人は、るい痩が著しくふらつきもある高齢の女性だった。土田さんからは、「家族は施設へ転院と考えているが、患者本人は自宅に帰って自分で生活がしたいと希望しているため、なんでも自分でしたいという思いが強い。排泄もおむつは拒否している。」と紹介された。ナースコールがあり、訪室するとその患者さんはトイレに行こうとしていた。土田さんの見守りのもと、ふらつきながらも患者さんは車いすに移りトイレに向かった。患者さんは下着にパッドを当てているが、痩せているのでずれてしまい、シーツが排泄物で汚染されていた。土田さんは患者さんが気づかないうちにすかさずシーツを交換した。しばらくして患者さんがベッドに戻ると土田さんはスリッパを揃えた。ピタッと見た目美しくそろえるのではなく、足がちょうど降りる位置でスリッパの間が肩幅程度に開いていた。一連の動作は当たり前の行動として体に染みついたような、自然に流れるような動作だった。私は土田さんへ、「患者の羞恥心に配慮し、『自分でできる』気持ちを支える素晴らしい看護だ」と伝えた。しかし、謙遜かもしれないが「いつもやっていることですから」と、なぜそのようなところを注目するのだろうという表情だった。私もその意義をその場で十分に伝えられないもどかしさを感じていた。
 新しい知識技術を学ぶことは当然重要である。しかし、新人から中堅のレベルとなり、先輩の指示を仰ぎ「意味は?根拠は?」と問われながらぎこちなく行っていた看護業務が一連の動作として体に染みつき、自然に流れるような動作でなされるようになった今だからこそ、エキスパートへと成長していくために、日々の実践に意味づけし看護として深め、自信を持って自分の看護を語ることも大切だと思う。土田さんの看護実践を見てその大切さを改めて実感した。

看護キャリアの講座の特徴である3病院交流を意識したグループワークの意義

 時々「日々の業務をこなしているだけ。看護をしていない」と耳にすることがあり、私はちょっと寂しい気持ちになる。看護キャリアの多くの講座は、職場から離れ、日々の実践を語り、振り返り、学びなおす講座である。また、東邦大学という同じ組織だけれど3病院から受講者が集まることで、看護組織の異なる程よい第三者が意見する。それにより看護に気づき、課題に気づく受講者が多くいた。講座の中で実践を聞いて、「それは看護だよね!」とみんなで見つけ、深め、心の中に看護の柱を立てていく。そんな役割を今は担ってみたいと思っている。 
 今回、土田さんの看護実践から私の方向性の示唆を得ることができた。忙しい業務の中快く受け入れてくださった土田さんと、師長・スタッフの方々、機会を下さった大森病院看護部の方々へ心より感謝を申し上げたい。