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【挑戦する】 No.22 急性期病院での高齢者支援 見学編講座開催レポート −急性期を担う看護職の新たな試み−

概要

急性期病院での興味深い試みの実際を見学します。高齢化が一足先に進んでいる地域ではすでに先駆的な試みが行われています。連携の仕組み、院内での試みなどさまざまです。なかでも看護職が声を上げ続けた結果、実った試みも多くあります。具体的な方策を学ぶことも重要ですが、そのような看護のパワーを知ることも重要だと考えます。東邦看護の新たな展開のヒントがみつかればと願っています。

急性期病院での高齢者支援—講義編—の受講が前提となります。(自由参加受講生も含まれます)。

目的

急性期病院での新たな試みの実際の見学をとおして、急性期病院での高齢者への生活支援について考え、自施設・自部署での実践に役立てることを目指します。

期待される学び

  1. 急性期病院での新しい試みの実際を知ります。
  2. 自施設・自部署の急性期での高齢者への生活支援における課題を見出します。
  3. 課題解決のための具体的提案の素材を見出します。

参加者

12名(大森8名、大橋3名、看護学部1名)

内容

10月3日(金)

飯田市立病院  「およりて」の見学、病院見学

「およりて」見学後の意見交換(飯田市立病院のみなさんと)
  • 気づき、体験を振り返る
  • 自施設や自部署の急性期での高齢者への生活支援における課題を見出す
長野県 飯田市立病院
長野県 飯田市立病院
院内デイ「およりて」
院内デイ「およりて」
前列中央 飯田市立病院 看護部長 菅沼ふじ子様、受講者の皆様
前列中央 飯田市立病院 看護部長 菅沼ふじ子様、
受講者の皆様

~飯田市立病院(長野県飯田市)「およりて」のご紹介~

飯田市立病院は、地域医療支援病院として急性期医療を担う地域の中核病院です。飯田市の高齢化率は30%と高く入院される方も高齢者の方がたくさんいらっしゃるとのことでした。整形外科・眼科・皮膚科病棟でも、入院による環境変化や手術・疼痛によるストレスから不穏症状や認知症状がみられ、車いすに乗った患者さんがステーションにいる様子がとても気になったそうです。2008(平成20)年6月、そのような患者さんを対象に院内デイ「およりて」は開設されたそうです。

受講目的

  • 私たちの地域より先に高齢化が進んだ地域の急性期病院の取り組みを知り、自部署で何ができるか考えたい。
  • 他施設の取り組みを知り、当院でのシステム構築の方法と評価について学びたい。
  • 昨年度自部署で立ち上げた病棟内デイケアを今後発展できるように、また、多くの問題点の改善策を検討したいため、「およりて」での取り組みから学びたいと思った。
  • 他施設の取り組みを知ることで、当病棟との違いや参考にできる部分を見出し、病棟の取り組みとしたい。

受講者の声

  • 「およりて」にいる患者さんの表情はとても豊かで、自分のやりたいことに集中している様子に感銘を受けた。
  • 「およりて」のある病棟では、体幹抑制はなく、胃管を挿入していてもミトンを使用していなかった。
  • 洗面や整容、トイレなど日常の生活行動が看護に自然と組みこまれ、朝の環境整備で看護師とヘルパーが連携し、患者はあっという間に体重測定も終わり「およりて」に出かけて行った。
  • 患者の力を看護師が見出していた。
  • その人らしさと、その人ができることを大切にしていると感じた。
  • ベッド周囲がきれいに片付いており、患者さんが立位を取ったり歩行するのにスムーズで安全だと思った。
  • 現在の「およりて」ができあがるまでの経緯を知ることができ、自部署の院内デイの改善点が見えてきた。
  • 「およりて」も最初は病院組織で取り組んだのではなく、病棟での取り組みであり、それが少しずつ組織に浸透していったとの経緯をきき、勇気をもらった。
  • 「急性期だからこそ、その人の日常生活から離れない看護」、という言葉にインパクトがあった。

センターより

飯田市立病院は、アルプスの山々が遠くに見渡せる清々しい空気の中に建っていました。

飯田市立病院の院内デイケア「およりて」では、患者さんのできることを無理せずできるだけ自然に行っていました。この「自然に」みえる行為は、実は計画された意図的な看護の実践であることを学びました。環境整備の考え方、、整えられたベッド周囲や床頭台、看護師とヘルパーの連携、使用するオムツなどの消耗品の選択、生活に組み込まれたリハビリテーションは、さまざまな課題を丁寧に解決した結果で、入院している患者さんにとっては、「およりて」へ出かけていくことにつながっていました。

見学後、飯田市立病院の方たちと一緒に意見交換させていただき、今の「およりて」の状態に到達するまでの経緯を教えていただき勇気をいただきました。病棟のいろいろな職種がひとつになって、患者さんに個別性のある日常生活援助を実現するための意図的な取り組みを学ばせていただき、受講者は、自部署の課題と改善できる点を考えることができ、とても成果があったと思います。

まずは見出した課題のなかから自部署でできることを、そして、東邦看護として一緒にできることを考えていきたいと思います。

お忙しいなか、大変貴重な学びをさせていただきました飯田市立病院の看護部長さまはじめ皆さまに、心から感謝申し上げます。

(KAN)