新型コロナウイルスの抗体保有率の推定

厚生労働省は、新型コロナウイルスの抗体保有状況を把握するため、
血液検査を6月1日から7日まで実施しました。
対象者は、東京都1,971名、大阪府2,970名、宮城県3,009名の住民です。

厚生労働省のHPでは
「各都道府県により無作為抽出し、調査へ同意した一般住民の方」を
対象としたと説明されています[1]。

東京都のお知らせによると都内の調査実施地域は板橋区、豊島区、練馬区であり、
各1,000人程度が対象で、住民基本台帳から年齢・性別に層化抽出し、
案内が郵送されたそうです[2]。

ということは、東京では、約66%の参加率であったということになります。

大阪府の報道発表資料によると、
「府内に居住し、大阪府健康サポートアプリ「アスマイル」に登録している
20歳以上の方(お試し登録の方は除きます。)に対して
抗体検査の希望者を募集します。」と記載されています。

健康サポートアプリに登録している方の中から、
応募法を用いて対象者を抽出したようです。

調査をスピーディに実施すること、そして、真の無作為抽出を実施し、
ある程度以上の参加率で実施することは非常に難しいと思います。

4月27日にニューヨーク州(人口1950万人)での抗体保有率の調査結果は
14.9%と発表されました。

その時点でのニューヨークでのコロナ感染書湯による死亡者数は累計で
13,727人でした[4]。

6月17日までの東京都の累積死亡者数は316であり、
東京が人口1400万人であることから考えると、
ニューヨークと比較して非常に死亡数が低いことはご存知の通りです。

このことを踏まえると、抗体保有率が、ニューヨークと比較して、
非常に低いことは当然なのかもしれません。


[1] 厚生労働省. 「抗体保有調査結果」https://www.mhlw.go.jp/content/000637285.pdf (最終閲覧日:2020年6月17日)
[2] 東京都防災ホームページ. 「(第393報)新型コロナウイルスに対する抗体保有調査の実施について」 https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/saigai/1007261/1008076.html (最終閲覧日:2020年6月17日)
[3] 大阪府. 報道発表資料. 「新型コロナウイルス抗体検査への協力者募集について」 https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/taisaku/saigai/1007261/1008076.html (最終閲覧日:2020年6月17日)
[4] NYC Department of Health and Mental Hygiene: COVID-19: Data.
https://www1.nyc.gov/site/doh/covid/covid-19-data-deaths.page

投稿者:教員

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