はしかの流行
2024年03月16日最近、麻しん(はしか)のニュースをよく目にします。
麻しんウイルスの感染力は非常に強く、
さらに、免疫を持っていない人が感染すると、
ほぼ確実に発症します。
この感染力を表すものに、基本再生産数R0があります。
2年前のブログ(「集団免疫」)に登場しています。
「ある感染症に対して全ての人が免疫を持たない集団の中で、
1人の感染者によって発生する二次感染者の平均人数」です[1]。
季節性インフルエンザでは1-2、
COVID-19(2020年1月23日時点)では1.4-2.5、
天然痘では5-7、
風疹では6-7程度と見積もられています[2-5]。
さて、麻しんではどれくらいと思いますか。
12-18です[5]。
桁が違います。
2015年、世界保健機関(WHO)により、
日本は「麻しん排除状態」にあることが認定されました。
その後も排除の状態を維持する努力が続けられていますが、
毎年、症例は発生し、2019年には、
排除達成後最多の744例となりました。
2020年から2022年はCOVID-19の世界的な流行となり、
国内外の人の流れが制限されて、症例数は10例以下に激減しました。
しかし、2023年は、人の流れの増加とともに麻しん症例も増加し、
28例でした。2024年は3月6日時点で2例です[6]。
麻しんは感染力が強く、手洗いやうがいのみでは予防できません。
対策にはワクチン接種が最も有効です。
2回の接種で99%以上の人が免疫を獲得できるとされています。
念のため、接種記録を確認してみてはいかがでしょうか。
[1] 社会疫学研究室ブログ(2022年1月31日)https://www.lab.toho-u.ac.jp/nurs/socio_epidemiology/blog/list/dqmvu90000000jri.htmll (最終閲覧日:2024年3月16日)
[2] Biggerstaff M, et al. Estimates of the reproduction number for seasonal, pandemic, and zoonotic influenza: a systematic review of the literature. BMC Infect Dis. 2014; 14:480. (最終閲覧日:2024年3月16日)
[3] WHO. https://www.who.int/news/item/23-01-2020-statement-on-the-meeting-of-the-international-health-regulations-(2005)-emergency-committee-regarding-the-outbreak-of-novel-coronavirus-(2019-ncov) (最終閲覧日:2024年3月16日)
[4] Fine PEM. Herd Immunity: History, Theory, Practice. Epidemiol Rev. 1993;15(2):265-302.
[5] Anderson RM, May RM. Directly transmitted infections diseases: control by vaccination. 1982; 215:1053-60.
[6]国立感染症研究所. 麻疹の発生に関するリスクアセスメント(2024 年第一版). https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/measles/ra/measles_ra_2024_1.pdf (最終閲覧日:2024年3月16日)
投稿者:教員
カテゴリー:健康のはなし