2023年 見所一覧
オミナエシ
2023/11/1
山野に生える多年草。秋の七草の一つとして古くから親しまれており、お盆の盆花としてもお供えされてきました。40年ほど前まで日当たりのよい草原や土手などに普通に生えていましたが、宅地開発や乱獲により激減し絶滅危惧種になってしまいました。根、全草を薬用として使用します。
栽培はよく日に当て風通しの良いところで育てる。風通しが悪いとうどんこ病がつきやすくなります。
カキ
2023/10/27
東アジア原産の落葉高木。日本の山野にも自生している。昔から人々の暮らしに深く関わってきました。薬用や柿渋を防腐剤、幹を材、実を食用として使用してきました。原種は渋ガキで食用としては加工しなくては食べることが出来なかったが、甘ガキができ、その後品種改良を重ね実が大きな甘ガキができました。果物として各地の産地の名前の付いた柿が出回っています。当園には6種類植えられており、今年はフデガキが一番見事に実を付けてくれました。フデガキは毛筆の先に似ているため、「筆柿」と名付けられたそうです。
フデガキは甘ガキで実成りがとても良く、花粉樹として植えられる品種です。
タデアイ
2023/10/04
東南アジア原産の一年草で、日本には6世紀頃、中国から薬用や染料として渡来しました。江戸時代には庶民へ木綿が普及し、木綿を染める藍染の原料として徳島県で多く栽培された。
薬用としては解熱、解毒、抗炎症に使われ、主に藍染の原料として栽培されている。日本で栽培されている品種は小上粉(こじょうこ)、小千本(こせんぼん)、百貫(ひゃっかん)などがあります。葉や若い茎などは食用にもなります。
今年、青森藍のタデ藍の葉から抽出したエキスが、新型コロナウイルスのヒト細胞受容体への結合を阻む働きを持つことが東北医科大学、富山大学、近畿大学、神戸大学の共同研究チームにより発見された。
シオン
2023/10/03
東アジア原産の多年草。薬用の他、花が綺麗なので昔から観賞用として栽培されています。平安時代にはすでに栽培されていたようです。
薬用として根を、たん切りや咳止めとして利用する。秋に背丈2mを超えるくらいに育ち、上部に沢山の薄紫色の頭状花を咲かせます。稀に白花や八重咲などがある。
近年では品種改良により鉢植え用にコンパクトな草丈20cm位の品種や花色もピンク、薄紫、紫、濃紫などがあり、八重咲きの中でも何種類かの咲き方があります。
高性種は背が高いので、台風などで倒れやすいので支柱などで支えてあげるとよい。うどん粉病が付きやすく、混みすぎたり風通しが悪くならないように気を付ける。基本丈夫に植物で、一度植えればどんどん増えていきます。
シュウカイドウ
2023/09/15
中国原産で、江戸時代に渡来した帰化植物です。山野の湿りけの有る所に生える多年草で、種子やむかごで増えて群生します。秩父などでは、杉林斜面に群生して花の時期はとても見事です。よく知られている園芸種のベコニアの仲間で、高さ50cmほどの高さに育ちます。薬用の他に観賞用として栽培されており、バラ科の海棠(カイドウ)に似た花が、秋に咲くことから秋海棠(シュカイドウ)という名が付きました。花色は桃色ですが稀に赤色、淡桃色、白色などがあります。極まれに斑入りの葉のものもあります。
オオモクゲンジ
2023/09/12
中国原産の落葉高木。別名はマルバノモクゲンジ、ゴールデンレインツリー。暑さが収まり、涼しい風が吹く頃(9月中~下旬)に花が咲き始めます。大木の樹上で咲くので、開花をしてもあまり目に入らない。咲くと樹上部がまっ黄色になるほどに咲きますが、花が落ち始めてから気が付く人が多いようです。
今年は9月に入っても夏日が続いたので、秋雨前線が関東に発生しておらず、本来なら秋雨の頃に真っ黄色に咲くことから、ゴールデンレインツリーと名付けられたようですが、今年は違うようです。花が終わると独特の袋果がピンク色に実り、またそれも見ものです。
ヤブラン
2023/09/11
明るい林床に生える多年草。ポツポツと離れて生えている所が多いが、たまに足の踏み場がないほど密生して生えている所もある。
夏の暑く花の少ない時期に紫の小さな花を穂状に咲かせ、目を楽しませてくれる。
9月の中旬ごろに濃紫色の実を付ける。
観賞用として鉢植えや庭園の日陰の下草として植えられており、斑入り種や洋種の白花など売られるようになった。
カリガネソウ
2023/09/11
山地の沢沿いや明るい林下に生える多年草。よく日に当たる湿り気のある場所に好んで生える。
独特な形の青い花を咲かせ、花形から雁草(カリガネソウ)、帆掛草(ホカケソウ)とも呼ばれる。稀に白色や桃色花がある。
花の構造が、昆虫が密を採取に来た時に背中に花粉が付くようになっている。
独特の臭い匂いがあり、遠くからでも匂いがわかる。
ツリガネニンジン
2023/09/05
野原や土手、田畑の畔などで見かける多年草で薬用の他に観賞用として栽培される。
白色から濃紫色の釣り鐘型の花を咲かせるが、花形が変化に富んでおり、鐘型が細くなっているものから雌しべが突出しているものなど産地によりかなりの違いがある。
複数の自生地を訪ねてみて同じものと思えないほどの違いがあったが、同じツリガネニンジンとして扱われている。
新芽を山菜として食べることが出来るが、近年では除草剤などの使用で田畑周りでは殆ど見ることが出来なくなってしまった。
ボタンズル
2023/09/05
山野に生える蔓性半低木で切り開いた山地や林道わきなどの日の当たる所で多く見かける。
夏に白い小さな花を、株の一面を覆うように見事に咲かせます。
葉が牡丹の葉に似ているため、ボタンズルと名付けられた。薬用の他に観賞用として栽培される。
花や葉には変化は殆ど無いが、ごく稀にピンク花や斑入り葉などがあり、山野草展などで見かけることがある。
ここ20年でボタンズルのような野生種がクレマチスの原種として売られるようになってきた。
アサガオ
2023/08/18
アメリカ原産のヒルガオ科の一年草で、夏の代表的な花の一つ。
古くから薬用や園芸植物として栽培され古典園芸植物として、菊や花菖蒲、万年青などと共に楽しまれてきた。江戸時代にブームがあり数千種類もの変化アサガオが作られた。
小学生の植物成長観察や、色素の実験などでもよく使われている。花が綺麗なので品種改良が進み、沢山の品種がある。
近年ではアジア原産の宿根のアサガオが流通しており、温暖化の影響もあって地植えで栽培しているもので、蔓の幹が直径15cmくらいに育っているのを見たことがある。
※千葉県佐倉市にある国立歴史博物館では、古典園芸植物のアサガオ展を毎年開催しています。
タヌキモ
2023/08/17
沼や池に生える水草。狸の尻尾に見えることから名が付いた。他の水草と違い、根が生えず水面ぎりぎりのところを浮遊した状態で成長する。
葉の間に補虫のうがあり、ミジンコなどの虫を捕まえる食中植物である。
初夏から黄色い花を咲かせ、種ができると枯れる。東邦大学にあるタヌキモは茨城県の池に生えていた個体の種を秋に採取して育てたもの。5月頃に発芽して9月頃には最長1m位まで長く伸びることが解った。
ニチニチソウ
2023/08/08
マダガスカル島原産で多年草だが寒さに弱いため日本では一年草扱いになる。薬用や観賞用として栽培されている。高性,這性、矮性の3種があり、花は白、ピンク、赤、などがあり、一重咲きの他、八重咲やフリンジ咲などがある。花の時期は長く、初夏から秋まで次々と花を咲かせ続ける。花が終わったら切り戻しをして再生してあげると、また咲きはじめる。丈夫な植物で炎天下でも花が咲きますが、肥料や水が切れると花がさかなくなってしまう。
ゴシュユ
2023/07/28
中国原産で薬用として日本各地で栽培される樹高3~5mの落葉高木。雌雄異株で日本には雌木が渡来して栽培されている。東邦大学には貴重な雄木が植わっていたが、30年ほど経ったときに急に枯れてしまった。雌木1本でも実が付くこともある。夏に白~薄緑色の花が咲きハナバチやハナアブが沢山集まる。
ハマカンゾウ
2023/07/18
関東地方以西の海岸近くに生える多年草で、ノカンゾウに似ており海岸沿いに多く生えているためにハマカンゾウという。ノカンゾウとの違いは、常緑で地上部が冬でも枯れず越冬する。草丈もノカンゾウより大きめの固体が多いようです。花の大きさも小さいものから大きなものまで個体差があり、花色も黄色から赤みが強いものまであります。若芽や花は山菜として食べられる。沖縄では近縁種のクワンソウを健康食品として食べている。
オミナエシ
2023/07/18
山野に生える多年草で秋の七草の一つとして古くから親しまれています。お盆の盆花として昔から使われていました。日当たりの良い草原や土手などに普通に生えていましたが、近年では宅地開発や乱獲により激減し絶滅危惧種になっています。根茎を薬用として使います。
ティーツリー
2023/06/01
オーストラリア原産の常緑小高木。フトモモ科のメラレウカ属独特のブラシのような形に見える白色の花を咲かせる。優れた抗菌、抗真菌、抗ウイルス作用を持ち、感染症などに用いられる。葉は細いが精油がよく採れるため、他の精油より比較的安価で売られ馴染み深くなってきた。精油を採取していて枝葉を入れ替えるときに、つんとした刺激のある蒸気が出る。
マスクに使用するスプレーに入っていることが多く、肌が弱い人に接触性皮膚炎(アレルギー性の発疹)や皮膚刺激が起こることがあり、手作りする場合には濃度には注意をする。
オーストラリアでは品質保持のためにティートゥリー精油は規格が定められており、 テルピネン- 4 -オールの含有量は30%以上、1,8 - シネオールは15%以下とされているそうです。
トウキ
2023/06/01
セリ科の多年草。原産地がはっきりしていないが栽培の歴史は古く、現在は奈良、和歌山、富山、群馬、北海道、栃木等で栽培されています。
自生している所は無いと言われている。
枝先に複散形花序の白い花を沢山かせます。中国のカラトウキとイワテトウキの交雑種の可能性もあると言われているが定かではない。漢方の代表的な植物の一つで婦人病の処方に多く使われている。
特異なにおいや苦みがあり、和製ハーブとして若芽を食用に、葉を入浴料にと生産地では商品開発が活発に行われています。
イブキジャコウソウ
2023/04/21
イブキジャコウソウ
低山帯から鉱山帯に生える常緑低木。背が低く一見すると草に見えますが、立派な木本です。
花が麝香の香りに近いためにこの名前が付きました。開花時期に山に行くと500m先でも香りがしてくるのがわかる。
花色は白から濃紫色まであり、高山へ行くほど花の色が濃くなるように思えます。
増やし方は実生や挿し木、株分けで増やす。
販売されているイブキジャコウソウは、交雑しているものも有るが見分けは難しい。
サクラ 御衣黄
2023/04/05
※画像をクリックすると拡大画像が見れます。
八重桜の黄緑色の品種で花が咲いていてもあまり目立ちません。花の咲き始めは緑色で、時間が経つにつれ黄色が入り、更に桜色が筋状に入ります。この花色の変化を毎年楽しみにしている方もいらっしゃいます。
東邦大学の御衣黄はハーブ園の脇、健康科学部校舎側に1本あります。樹齢はおよそ30年。ここ数年、樹が弱りカワラタケの菌糸が寄生してしまいました。あと何年、美しい花を咲かせてくれるか。
逆転の桜
2023/03/27
今年は急に気温が上がり、ソメイヨシノよりもオオシマザクラの方が早く咲き始めた。例年だとソメイヨシノが咲いて、3~4分咲きになったころにオオシマザクラが咲き始める。しかもソメイヨシノが散り始めたのにまだコブシの花が残っている。北国のように春になって花が一斉に咲いたが、このような事はここ30年ほどでは記憶にない。
ソメイヨシノはエドヒガンとオオシマザクラの雑種といわれている。
ミツマタ
2023/03/08
ミツマタ ジンチョウゲ科
中国、ヒマラヤ原産の成長すると高さ1~2mほどの落葉低木。高級和紙の原料として栽培される。ミツマタの繊維は長いので強靭な和紙ができ、明治時代から紙幣に使用されている。
名前の由来は枝が3本に分かれることによる。
下向きに半毬状に咲く花の姿が可愛らしく、早春に咲くめでたい花として公園や庭園に植えられている。樹皮の色で赤木種と青木種に分けられており、赤木種のほうが花の数が多いので、観賞用に適している。
大形のものや戦後に改良された赤花品種のアカバナミツマタなどがある。
日当たりの良いところより少し日陰になるところに植え、実生や接ぎ木で増やす。
ウィンターヘリオトロープ
2023/02/17
ウィンターヘリオトロープ キク科
別名がニオイカントウと言われ、香りの良いハーブとして知られているヘリオトロープとは別の植物です。
見た目はフキを小型にした感じですが、有毒なので注意が必要。昭和初期頃に観賞用として渡来。真冬に咲くことから英国などでは冬の貴重な蜜源になっています。
東邦大学薬草園には40年前から植栽されています。花の時期は短いので来週には見頃は終わってしまいます。
マンサク
2023/02/03
マンサク マンサク科
本州、四国及び九州の太平洋側に分布する落葉中高木。薬用の他観賞用として栽培される。花の少ない早春に咲くめでたい花とされている。
「まんず(まず)咲く」から、マンサクと名が付いた。葉が出る前に細く黄色い独特の花を、小枝じゅうに咲かせる。花芯が赤く、花弁が散った後も独特の風情がある。花の時期まで枯れ葉が残っている場合がある。
近年では品種改良により、オレンジ色の花や薄い黄色、濃い黄色など6~7タイプぐらいある。個人庭園や公園などにも植えられている。良く日に当て栽培する。取り木や接ぎ木、実生で増やす。
スイセン
2023/01/20
スイセン ヒガンバナ科
スペイン、ポルトガル、北アフリカ、地中海沿岸、アジア中部で見られる球根植物。薬用の他、賞用として栽培される。スイセンは中国の呼び名の「水仙」を音読したもの。
大きく分け日本スイセンと西洋スイセンの2つに分かれる。日本スイセンは1月~3月頃に咲き良い香りがする。それに対し、西洋スイセンは花色や花形が大きくあでやかで、3月~5月にかけて咲き香りが無い。近年の品種改良で香りのある品種が作り出されている。
球根や鉢植え、切り花で普通に売られているが、いずれも有毒で取り扱いに注意が必用。数年前、ニラとスイセンの誤食による中毒の事例があった。見分け方はスイセンにはニラの匂いが無いことから違いがわかる。
栽培は花の咲く時期に良く日に当てて肥培をする。花が終わると葉を刈り取る人がいるが、このような事をすると球根が育たず花が咲かなくなってしまう。
スノードロップ
2023/01/20
スノードロップ ヒガンバナ科
ヨーロッパ原産の多年草。日本では観賞用として栽培され、現在10種以上ある。冬から早春に咲く球根植物で、冬の終わりを告げる花と言われているが、中には11月に咲く品種もある。いずれも白色で下向きに咲き、“雪のしずく”とも言われている。和名は「松雪草(マツユキソウ)」。ヨーロッパでは各地で見られる。幸運を運ぶなど、神秘的なものから不吉なものまでさまざまな言い伝えがある。
有毒なので取り扱いに十分気を付ける。栽培は簡単で一度植えると植えっぱなしで毎年咲いてくれる。葉のある時期に十分に日に当てて肥培し、3~4年に1回株分けを兼ね植え替える。植え替えは休眠期の発芽前の秋に行うと良い。品種により違いはあるが、平均1球植えで5年で3~20球位に増える。増やし方は株わけと実生で増やす。実生は花が咲くまでに5年かかる。
キダチアロエ
2023/01/19
キダチアロエ
ワスレグサ科
アフリカ南東部原産の多年草。薬用の他、観賞用として栽培される。冬に円錐形で濃紅色の小さな花を下から順に咲かせる。民間薬として外用薬や胃薬、化粧品として使われ、医者いらずの呼び名がある。
40年前は東邦大学では地植えでは寒さに耐えきれず温室に入れていたが、30年ほど前から越冬する様になり冬に綺麗な花を見ることができるようになった。(これも温暖化の影響だろうか。)
千葉県では房総半島に行くと普通に路地植えされ、見事に花を咲かせている大株を見ることができる。東邦大学ではキダチアロエが3種ほどあるが、いずれも越冬している。花は沢山咲いてくれるが、まだ実が付いたことがない。増やし方は挿し木や株分けで増やす。
ロウバイ
2023/01/19
ロウバイ
ロウバイ科
中国原産の落葉中高木。薬用の他、賞用として栽培される。早春に咲き、良い香りがする。蝋細工の様な透明な花びらが特徴。めでたい花としてて鉢植えや切り花、庭園や公園などで植えられ楽しまれる。
50年前はまだ珍しく、薬草園か植物園でしか見ることが出来なかった。早春のまだ花の少ない時期に咲くので、ロウバイ園が日本各地で何か所か出来た。
素心が綺麗と言われ、品種改良が進み濃色の品種もできている。逆に普通の花芯に色が付くロウバイが珍しくなりつつある。増やし方は実生や接ぎ木で増やす。実生の場合、開花まで咲きそろうには6年ほどかかる。