トップページ >
研究紹介 >
2007年度 >
水澤玲子 「伊豆諸島に自生するクサギ属2種(Clerodendrum truchotomum and C. izuinsulare)の訪花昆虫と花形態の関係」
水澤玲子 「伊豆諸島に自生するクサギ属2種(Clerodendrum truchotomum and C. izuinsulare)の訪花昆虫と花形態の関係」
クサギ(C. trichotomum)は北海道から沖縄まで広く分布する落葉小高木です。夏になるとアゲハチョウやスズメガの仲間など、多くの昆虫が蜜を求めて花を訪れます。このとき雄蕊(おしべ)の先端が昆虫の体に触れて花粉がつきます。この昆虫が別のクサギを訪れたときに、体についたさっきの花粉が次の花の雌蕊(めしべ)について受精し、実ができます。クサギに限らず、きれいな花を咲かせる多くの植物は昆虫に花粉を運んでもらうことで子孫を残しています。
伊豆諸島にはクサギのほかに、よく似たシマクサギ(C. izuinsulare)という植物が生育していますが、シマクサギの雄蕊はクサギよりも1センチ以上も短いのです。シマクサギは伊豆諸島と伊豆半島にしかありません。私は「クサギが伊豆諸島に分布を拡大したとき、ある島には体の小さい昆虫しかいなかったので雄蕊が短くなり、それが原因でシマクサギへと種分化したのではないか。」と考えました。 この考えを確かめるためにまず、花を訪れる昆虫と雄蕊の長さの間に何か関係があるかどうかを伊豆諸島で調べています。
調査地:伊豆諸島
水澤玲子
所属
- 日本生態学会
2007年度
- 栗山武夫 「オカダトカゲの色彩パターンの進化」
- 武田広子 「コウノトリの採食行動」
- 鈴木俊貴 「鳥類における音声コミュニケーションと認知的発達」
- 五味真人 「トンボ類幼虫の高温耐性」
- 仲條竜太 「同地域に生息する5種のハシリグモの生活史」
- 深澤 悟 「伊豆諸島の筒営巣性ハチ類の群集構造」
- 水澤玲子 「伊豆諸島に自生するクサギ属2種の訪花昆虫と花形態の関係」
- 高橋洋生 「トカゲ類の採餌行動・対捕食者行動、生物間相互作用」
- 庭野 裕 「千葉県丘陵地域におけるニホンアカガエルとヤマアカガエルの生活史」
- 藤田 薫 「伊豆諸島とその周辺本土におけるヤマガラの集団構造」
- 一條さくら 「徳島県伊島における巨大化したニホンヒキガエルの生態」
- 清水 謙 「無尾両生類における跳躍力の温度依存性」
- 住谷実紗子 「有尾両生類の遊泳速度の温度依存性と温度選好性」
- 竹田祐輝 「クツワムシの高温耐性と都市部への進出」
- 高城 満 「オカダトカゲの捕食回避に関する学習」
- 中西亜耶 「キシノウエトタテグモの仔グモの移動分散距離の測定」
- 吉村理貴 「哺乳類におけるヤマアカガエル捕食者の特定」
- 工藤芳文 「里山の人間活動による生物多様性の維持」