里山には人と自然とが調和したさまざまな自然が存在する。これらは生物多様性を増加させる重要な要因である。しかし近年、土地利用形態の変化によってこれらの自然が減少しつつあり、景観構造が変化することで生物多様性に影響を与える可能性がある。そこで、陸上生態系で最も数の多い小型捕食者であるクモを対象にし、水田周辺の草地に生息するクモへの景観要因の影響を明らかにしたい。クモは生物指標として高い価値があると考えられており、どのような景観が生物多様性を維持、増加させるのかということを予測できるのではないだろうか。また、クモは農業害虫を捕食してくれる生物であり、農業において重要な生態系サービスを提供しているので、本研究は、どのような景観要素がクモの多様性を増加させるかを考察することで農業への貢献につながる。
筒井優 「里山の景観要因が及ぼすクモの多様性、個体数への影響」
2011年度
- 武田広子「コウノトリ(Ciconia boyciana)の採食生態」
- 伊藤珠実「ナナフシモドキの食草選択について」
- 多田さと美「アゲハチョウ類の群集生態学」
- 平岩将良「花形質に基づく送粉ネットワークの予測」
- 柊雅実「三宅島2000年噴火が地上系及び土壌系無脊椎動物に与えた影響とその回復過程」
- 藤田薫「伊豆諸島とその周辺本土におけるヤマガラの集団構造」「キブシをめぐる生物間相互作用」
- 近藤めぐみ「千葉県北総地域における市民による自然観察を里山保全に向けた調査・研究へつなげる試み」
- 伊藤美信「死体に集まる昆虫群集の遷移」
- 上野真太郎「流速に対する淡水性カメ類の反応」
- 小沢尚子「エラブウミヘビ(Laticauda)属の色素細胞の比較」
- 関本真樹 「三宅島におけるオカダトカゲPlestiodon latiscutatusの現状」
- 千葉由美子「白亜紀最末期の恐竜の多様性 —サンディサイトの恐竜たち」
- 筒井優「里山の景観要因が及ぼすクモの多様性、個体数への影響」
- 中島悟「八丈島におけるニホントカゲの個体数の増加要因」
- 村上新「新島におけるシマヘビの色彩の遺伝様式」
- 栗山武夫「オカダトカゲの色彩パターンの進化」