トップページ > 研究紹介 > 2016年度 > 鈴木  翔「被食者の視覚的捕食者認知が捕食者の色彩パタン多様化に及ぼす進化的相互作用 -トカゲ目爬虫類の種間・種内島嶼個体群間の比較-」
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鈴木  翔

「被食者の視覚的捕食者認知が捕食者の色彩パタン多様化に及ぼす進化的 相互作用 -トカゲ目爬虫類の種間・種内島嶼個体群間の比較-」

 被食者は,視覚,嗅覚,聴覚などあらゆる知覚機能を用いて捕食者を認知し,適切な回避行動をとり,生存率を高める.被食者が捕食者の色彩パタンや形態を視覚的に認知し,捕食者から安全な距離に身を置くことは,早期に捕食を回避する最も有効な手段である.一方,被食者による視覚的捕食回避は,捕食者の捕食成功率を低下させるため,被食者による視覚的捕食回避は,捕食者の色彩パタンに対する強い選択圧となり得る.
 本研究は,伊豆諸島において,顕著な色彩多型を示すシマヘビとその主な被食者であるオカダトカゲに注目し,シマヘビの各色彩型に対するオカダトカゲの警戒の強さが,より高頻度の色彩型ほど強化されているのかを野外実験によって検証した.実験では,異なる色彩パタンを塗布したシマヘビの粘土モデルをオカダトカゲに提示し,モデルを無視し近寄るまでに要した時間の長さを,各色彩型に対する警戒度として定量化した.次に,実験を行った地点から半径
200 mの範囲内で捕獲・目撃されたシマヘビの色彩型頻度を集計し,各色彩型頻度が高くなるほど,オカダトカゲの警戒度が高くなるかどうかを検証した.