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東邦大学理学部
生物分子科学科
佐藤研究室

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最近の研究成果

 

最近の研究成果について紹介します

 2011年の東日本大震災に続く福島第一原子力発電所の事故では、大量の放射性同位元素(ラジオアイソトープ:RI)が環境中に拡散しました。私たちは、原発事故の25日後に千葉県銚子市の海岸で採集したオオハネモが緑藻の中では飛び抜けて高い放射能を持つことを見つけました。

 オオハネモを実験室に持ち帰ってどのような放射性元素が含まれているかをガンマ線スペクトル(下図)から調べたところ、予想どおりセシウム137やセシウム134、ヨウ素131、バリウム140、ランタン140など、ウラン235が核分裂してできたRIを多数検出しました。さらに、まったく予想していなかったのですが、原発からは絶対に出てこない、鉛214、ビスマス214、アクチニウム228、タリウム208などのRIが含まれていることが分かりました。詳しく調べてみると、これらの元素は海水中に極微量に含まれるラジウム226やラジウム228が放射性壊変してできた元素である可能性が高いことがわかりました。

 元素分析の結果からもオオハネモは、ストロンチウムやバリウム、ラジウムなどのアルカリ土類金属(周期表第2族)を高度に生物濃縮していると結論づけました。しかし、同じ第2族元素であるカルシウムは他の緑藻と比べてむしろあまり蓄積しないことがわかりました。現在、オオハネモが原子番号の大きなアルカリ土類金属元素をどのような仕組みで濃縮しているのかを、学科内の藤崎教授、渡邊教授と共同研究で調べています。 この結果は原著論文として刊行されていますので、興味があれば読んでみてください。(Accumulation of alkaline earth metals by the green macroalga Bryopsis maximaBioMetals 28:391-400, 2015)

ガンマ線スペクトル