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研究紹介

 

細胞内タンパク質輸送と神経発生・神経変性

神経細胞は非常に長い突起構造(軸索)を持ち、その末端で次の神経細胞とシナプスをつくって情報を伝えます。シナプスではたらくタンパク質の多くは、細胞体でつくられ、遠く離れたシナプスまで軸索を運ばれていきます。
私たちは、シナプスではたらくタンパク質を輸送するメカニズムが、神経発生(神経細胞どうしが正しい相手とシナプスを作って、情報処理を行うためのネットワークを作る過程)および神経変性(アルツハイマー病などの病気で神経細胞が徐々に機能しなくなり死んでいってしまう現象)に深く関わっているのではないかと考えています。
私たちは、Hikaru genki タンパク質とAPPタンパク質という二種類のタンパク質に特に着目しています。これらは、いずれもシナプスではたらくタンパク質ですが、蛹のある時期にはシナプスに運ばれるのに対して、別のある時期にはシナプスに運ばれなくなります。(蛹は成虫の脳の神経細胞ネットワークが作られる時期です。)私たちは、Hikaru genkiおよびAPPタンパク質の輸送がどのように調節されているのかを調べ、さらにシナプスへのタンパク質輸送が神経発生・神経変性にどのような役割を果たしているのかを明らかにしたいと思っています。
特に、APPは、アルツハイマー病を引き起こす原因になるタンパク質です。アルツハイマー病は、認知症の主要な原因である神経変性疾患です。私たちは、APPタンパク質をシナプスに輸送するために必要な新しい遺伝子を発見し、yata遺伝子と名付けました。(この遺伝子はタンパク質の道案内をする役割を持っているので、神武天皇の道案内をした八咫烏(やたがらす)に因んで名前をつけました。)興味深いことに、yata遺伝子が壊れて機能しなくなった変異体ショウジョウバエでは、神経変性に似た症状が起きます。私たちは、yata変異体ショウジョウバエで神経変性様症状が起きる原因を明らかにするとともに、アルツハイマー病との関連を調べていこうとしています。
参考文献:
Loss of yata, a novel gene regulating the subcellular localization of APPL, induces deterioration of neural tissues and lifespan shortening.
Masaki Sone, Atsuko Uchida, Ayumi Komatsu, Emiko Suzuki, Ikue Ibuki, Megumi Asada, Hiroki Shiwaku, Takuya Tamura, Mikio Hoshino, Hitoshi Okazawa, Yo-ichi Nabeshima
PLoS One, 4, e4466 (2009).

Journal Link

神経変性疾患ショウジョウバエモデルの解析

神経変性疾患は、脳神経系の神経細胞が徐々に機能しなくなったり、死んでしまう病気です。治療が困難な場合が多いため、有効な治療法の開発が待ち望まれています。私たちは、ポリグルタミン病(ハンチントン病やある種の脊髄小脳変性症など)などのショウジョウバエモデルの解析を行っており、治療法開発の基礎となる生物学的知見を明らかにすることを目指しています。

行動をコントロールする神経メカニズムの解析

私たちは、行動が異常になる変異体ショウジョウバエの解析を通じて、脳の機能メカニズムを明らかにすることを目指しています。自発活動量が低下するstill life変異体、hikaru genki変異体の詳しい解析を行うとともに、いくつかの手段を用いてショウジョウバエの行動を生み出す遺伝メカニズムを明らかにしようとしています。