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第4回 先端科学講座 東邦大学

PCR-RFLP法による遺伝子の多型解析

佐藤 浩之(東邦大学理学部分子生物学科 准教授)

日時:平成211219日(土)10:40-12:1013:00-14:30

場所:東邦大学理学部V号館35301教室

参加者:現職教員候補者4名、学生候補者2

 

講義内容

 生物の設計図であるDNAの基礎的な講義を受けた後、各自の組織からDNAを取り出して、PCR法による増幅、電気泳動による可視化を実習した。今回の実習ではミトコンドリアDNAのND2遺伝子を増幅して多型分析を行った。この遺伝子多型は寿命にも関係していることや、遺伝子多型、母系遺伝に関する理解を深めた。

生物の設計図としてのDNA

 遺伝子DNAは生物の設計図であり、体の形や性格まで決めている。真核生物のDNAは核・ミトコンドリア・葉緑体(植物)に分かれて存在する。ヒトのミトコンドリアDNAは約16500塩基からなり、13種類の遺伝子が存在する。ミトコンドリアは母系遺伝する。ミトコンドリアをもたないオスの精子と、ミトコンドリアをもつメスの卵が受精するため、メスのミトコンドリアが受け継がれる。母系遺伝するので、ミトコンドリアDNAを調べれば祖先までの系譜を明らかにできる。

2.ミトコンドリアDNAのND2領域を用いた祖先集団の推定

 ミトコンドリアDNAの配列から日本人の祖先は大きく2つのグループがある。縄文時代に大陸から移住してきたグループ(縄文系)と弥生時代に移住してきたグループ(弥生系)である。今回の講座では受講者のミトコンドリアDNAを調べることで、各自が縄文系か弥生系のどちらを祖先グループとして持っているか明らかにした。調べたDNA領域はND2と呼ばれる部分で、NADH脱水素酵素を作る。この領域の1つの配列は縄文系と弥生系で異なることが知られており、縄文系はC(シトシン)を、弥生系はA(アデニン)を持っている。

PCR-PFLP法を使ったND2多型の特定

 PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)法とは特定のDNA領域を増やす方法である。94度でDNAを一本鎖にし、55度で特定の領域にプライマーを結合させ、72度でDNAを2本鎖にする。この一連のサイクルを3040回行うことで、目的とするDNA領域を増幅することがでる。その後、ある特定の配列を認識し切断する制限酵素を用いて、増幅したDNA配列を切断する。今回は制限酵素(AluI)を用いて、縄文系のND2を2箇所、弥生系を1箇所切断した。この切断された断片が何箇所か判別するためにアガロースゲル電気泳動法を用いた。電気泳動法はDNA断片のサイズに応じて移動する速度が異なることを利用して、どのくらいのDNA断片が含まれているか明らかにする方法である。電気泳動の結果、縄文系のND23つのバンドが、弥生系のND2は2つのバンドが検出できた。