ホーム > 平成21年度_拠点校(船橋市立葛飾中学校)

CST候補者の方へ

CST候補者専用コンテンツです。
こちらのページからログインしてください。

専用ページへ

お問い合わせ先

東邦大学理学部
〒274-8510
千葉県船橋市三山2-2-1
TEL:047-472-1674

拠点校における実践力養成(船橋市立葛飾中学校)

 

実習生:東邦大学理学部生物学科4年生

実習期間:平成219月から平成221月 (計18日)

実習時間:8301730

実習内容と学生候補者の感想

理科の実験の補助と教室授業の見学

拠点校にいる5名の理科教員の実験の補助や授業を見学したことで、1つの単元で授業の展開や実験の方法が異なり、それによって生徒の反応がどう変化するのか客観的に観察することができた。

実験例)高気圧・低気圧と風(中学理科2下)

温度の異なる気団が接した時にすぐに混ざることなく前線面を作り出すことを、異なる色に着色した冷水(青色)と温水(黄色)で視覚的に観察する実験。この実験では最初に仕切りで冷水と温水を区切り、その後仕切りを外して冷水と温水が混ざり合わないことを観察させるが、ある先生の実験では、発展的な内容として、再度仕切りをして半分の水温を中間的なものにし(緑色)、その後仕切りをはずすことで温度の違う3つの層(青色・緑色・黄色)に分かれることを観察させた。そのため、生徒に温度の違う層(気団)はすぐには混ざり合わないことをより印象付けることができた。

サイエンスコラムの発行

授業において生徒から出された疑問への回答や発展的な内容、季節の話題を理科通信として3部発行した。

第1号「いろいろな感覚器官」:「動物の体のつくりと働き(中学理科2分野下)」の感覚器官の授業中に先生に昆虫の耳はどこにあるか質問され、その回答に加えてヘビ類の赤外線感知器官や魚類の胴体にある水圧や水流を感知する側線をイラスト付きで解説した。

第2号「紅葉の仕組み」:身近な環境でみられる生物現象として紅葉をとりあげ、その化学的なメカニズムをイラスト付きで解説した。

3号「渡り鳥について」:身近な環境でみられる生物現象として鳥類の渡り現象をとりあげ、1年中みられる種類や冬や夏にしか見られない種がいること、どのような移動経路であるかなどの解説をした。

第1号

いろいろな感覚器

第2号

紅葉の仕組み

第3号

渡り鳥について

大学での卒業研究の紹介

学生候補者が大学で行っている卒業研究(ヘビ類の体色に関する研究)を授業中に10分程度で生徒に解説した。実際に大学で行っている研究を生徒に解説したことで、生徒が大学の研究活動に関する具体的なイメージを持つことができた。

学生候補者が拠点校実習した際に感じた問題点とその改善案

実習の内容が明確に定まっていないため、学生候補生を受け入れる拠点校と実習する学生候補者の双方に戸惑いがあった。実際に行った内容は理科支援員(実験補助や機器整備)と教育実習(授業の見学と実践)の中間的なものであるので、学生候補者は能動的に実践力を養成することができなかった。この点を改善するには、候補者が実験の補助や授業見学をした単元について実験や授業を欠席した生徒などを対象に実験を実施する機会をつくることなどが考えられる。

また、学生候補者が実験や授業の内容を拠点校の教員から事前に知らされることなく補助や見学を行うので、生徒に接する際に困難な場面があった。拠点校の担当教員の都合もあるが、学生候補者に事前に単元や授業の内容が知らされていれば事前に自習した上で授業や実験に臨むことができるので、実験補助や見学であっても充実したものになったのではないだろうか。

受け入れ拠点校の感想

拠点校がCST学生候補者を受け入れるメリットとして、学生候補者が理科の実験補助や授業でのチームティーチングをしたことで、授業を円滑に進行することができた点があげられる。また、学生候補者が大学で行っている研究や、実験や授業の発展的な内容に関するサイエンスコラムの発行をしたことで生徒に大学での研究活動の具体的なイメージや身近な環境の生物現象に興味を持たせることができた。今後は候補者が理科実践指導力の養成として放課後に欠席した生徒向けの理科実験を行うことを検討している。