教員における長期休暇と実習・講義への影響と対処について
教員は各々の専門分野での知識・能力を持つ者と言われています。教員が病気や怪我、産前産後休暇,介護休暇などで長期に休んだ場合、臨時(アルバイト)教員の補充がなく、実習や講義など教育業務に支障を来すであろうという現状があります。そこで男女共同参画推進センターでは、教員の皆様からご意見を伺い、改善に役立てていきたいと考え、調査を実施しました。
目的
長期休暇の取得の経験について、現状を調べ、実習や講義への影響があるようであれば、それに対する解決策を模索する
方法
東邦大学に在職する教員(H24.5.1現在823名)に対して、メールを配信しインターネット調査への協力を依頼した。質問事項は性別、年代、所属のデモグラフィック情報と下記6項目であった。①自身が長期にわたり休んだ経験があるか、②休んだ際に実習や講義を担当していた場合、支障があったか、③休む際、実習や講義に対してどのように対処したか、④周囲の教員が長期にわたり休んだ経験があるか、⑤休んだ際に実習や講義を担当していた場合、支障があったか、⑥休む際、実習や講義に対してどのように対処したか。結果は、IBM社のSPSS Statistics 20を用いてクロス集計およびカイ二乗検定を行った。
結果
回答者の属性
平成24年9月13日~10月15日の間で、135名(回答率16.4% 全教職員数823名中)から回答を得た。
調査協力者は、男性81名(60%)、女性54名(40%)であった。40歳代の回答者が36%と多く、次いで50歳代(30%)が続いた。
所属は、医学部教員が4割を占め、理学部教員(13%)、看護学部教員(10%)がそれに続いた。
調査協力者は、男性81名(60%)、女性54名(40%)であった。40歳代の回答者が36%と多く、次いで50歳代(30%)が続いた。
所属は、医学部教員が4割を占め、理学部教員(13%)、看護学部教員(10%)がそれに続いた。
自身および周囲の教員の長期休暇取得について
ご自身が何らかの事情で長期にわたり休んだ経験がありますか
教員自身について、長期休暇の取得の有無を聞いたところ、男性教員の7%、女性教員の44%が長期にわたり休んだ経験があると回答し、性別による有意な差がみとめられた(χ2=25.71,df=1,p<.001)。
教員自身について、長期休暇の取得の有無を聞いたところ、男性教員の7%、女性教員の44%が長期にわたり休んだ経験があると回答し、性別による有意な差がみとめられた(χ2=25.71,df=1,p<.001)。
周囲の教員が何らかの事情で長期にわたり休んだ経験がありますか
周囲の教員に関する長期休暇に関しては、59%の教員が経験があると回答した。
周囲の教員に関する長期休暇に関しては、59%の教員が経験があると回答した。
長期休暇の際の講義や実習への支障について
自身および周囲の教員が休んだ際に、実習や講義に支障がありましたか
実習や講義への支障については、自分自身の長期休暇の際に比べ、周囲の教員の長期休暇の際に、“大変支障があった/少し支障があった”と回答した教員が多かった。
実習や講義への支障については、自分自身の長期休暇の際に比べ、周囲の教員の長期休暇の際に、“大変支障があった/少し支障があった”と回答した教員が多かった。
長期休暇の際に、実習や講義に対してどのように対処しましたか
長期休暇の際の対処方法については、自分自身および周囲の教員において、“同僚が代講した”が圧倒的に多かった。
長期休暇の際の対処方法については、自分自身および周囲の教員において、“同僚が代講した”が圧倒的に多かった。
教員が自身の病気や怪我、出産、育児、家族の介護など等で長期に休む際、実習や講義などへの支障を少なくするために、どのような方法が考えられますか(自由回答)
臨時教員や非常勤の確保・手配-大学を超えたネットワーク形成を含む
・非常勤を雇うことが最良
・ある程度予測できる場合(出産、介護など)は臨時教員を採用
・実習に関してはすぐに実習指導を行なえる指導者をアルバイトで雇用するように迅速に動くことが重要
・休んでいる教員の百パーセントの役割は期待できないにしても、人がいるのといないのとでは、残っているスタッフの負担が違う
・探しやすいように非常勤バンクを造り、登録しておいてもらうとよい
・当該学科をリタイヤした教員に応援を要請
・臨時教員の手配や、どのような対応が可能かを相談できる窓口があると良い
・担当している講義や実習に関する情報の開示・非常勤の雇用窓口を広げる・非常勤にふさわしい人材の確保を組織的に行う
・代替業務の派遣労働者を受け入れるなど、実働的な支援
・看護実習の場合、講義と異なるため、「産休代替要員」バンクを作っておくと良い。大学を超えたもっと大きな組織で
・他大学等の所属教員の応援を求めるしか方法がない
・専門分野で働いているので専門医の育成が重要
・人材ネットワーク、コンソーシアムのような複数の大学で人材を持つシステムが組めればありがたい
・引退されたOBやOGに日頃からお願いしておいて、急な長期休職が発生した時にお手伝いをしていただく
・臨時に他大学の同分野の教員からの助けが必要
・非常勤を雇うことが最良
・ある程度予測できる場合(出産、介護など)は臨時教員を採用
・実習に関してはすぐに実習指導を行なえる指導者をアルバイトで雇用するように迅速に動くことが重要
・休んでいる教員の百パーセントの役割は期待できないにしても、人がいるのといないのとでは、残っているスタッフの負担が違う
・探しやすいように非常勤バンクを造り、登録しておいてもらうとよい
・当該学科をリタイヤした教員に応援を要請
・臨時教員の手配や、どのような対応が可能かを相談できる窓口があると良い
・担当している講義や実習に関する情報の開示・非常勤の雇用窓口を広げる・非常勤にふさわしい人材の確保を組織的に行う
・代替業務の派遣労働者を受け入れるなど、実働的な支援
・看護実習の場合、講義と異なるため、「産休代替要員」バンクを作っておくと良い。大学を超えたもっと大きな組織で
・他大学等の所属教員の応援を求めるしか方法がない
・専門分野で働いているので専門医の育成が重要
・人材ネットワーク、コンソーシアムのような複数の大学で人材を持つシステムが組めればありがたい
・引退されたOBやOGに日頃からお願いしておいて、急な長期休職が発生した時にお手伝いをしていただく
・臨時に他大学の同分野の教員からの助けが必要
普段からのシステム・体制づくり
・教員が抱えている講義負担が大きいと、何かあったときのために余裕がなく、対応がとりにくい場合がある。もう少し余裕のある講義負担体勢が望ましい
・教育・学生指導・学事業務等含めて属人的なところが多く、代替に障害になるケースが散見。学部レベルの授業も普段からローテーションを組めるように内容を整理精査しておけば、十分に代替可能。体制づくりの問題
・定期的な担当業務のローテーションを実施して、特定の教員や職員でなければできない業務数が増えないようにする配慮が普段から必要
・平常時から余裕を持って人員配置をしておく。非常勤・パートなど採用形態を多様にする.全学をあげてフォローし合うことを明文化しておき,実現
・講義や実習の担当を常に複数で行い、資料も講座内で共通に保管することによって、交代可能な状態
・周りの助け合う環境が必要
・普段から補助要員を準備
・学部学生向けの講義や実習ならば、代替が効かない教員それぞれの特殊な研究テーマについての詳しい披露が求められているというより、より一般的な教育能力が求められる。「1人欠けたら回らない」というぎりぎりまで人を減らすのでは無く、1人分の余裕を持たせる
・教員が抱えている講義負担が大きいと、何かあったときのために余裕がなく、対応がとりにくい場合がある。もう少し余裕のある講義負担体勢が望ましい
・教育・学生指導・学事業務等含めて属人的なところが多く、代替に障害になるケースが散見。学部レベルの授業も普段からローテーションを組めるように内容を整理精査しておけば、十分に代替可能。体制づくりの問題
・定期的な担当業務のローテーションを実施して、特定の教員や職員でなければできない業務数が増えないようにする配慮が普段から必要
・平常時から余裕を持って人員配置をしておく。非常勤・パートなど採用形態を多様にする.全学をあげてフォローし合うことを明文化しておき,実現
・講義や実習の担当を常に複数で行い、資料も講座内で共通に保管することによって、交代可能な状態
・周りの助け合う環境が必要
・普段から補助要員を準備
・学部学生向けの講義や実習ならば、代替が効かない教員それぞれの特殊な研究テーマについての詳しい披露が求められているというより、より一般的な教育能力が求められる。「1人欠けたら回らない」というぎりぎりまで人を減らすのでは無く、1人分の余裕を持たせる
他の業務の軽減など
・同僚等には様々な負担がかかってくるので、担当科目以外の委員会等の業務を他領域の教職員が一時的に担うなどの工夫があれば助かる
・同僚等が代講などの肩代わりをすることは、半ば避けられないが、せめて、それ以外の定型的な業務(管理業務や試験監督などを想定しています)を減らせば、間接的ではあるが負担は軽減
・人員補充として教授レベルの人材をバイトで雇用するのは困難であるため、領域の助教を増員して、准教授の仕事量を軽減させることが良い
・同僚等には様々な負担がかかってくるので、担当科目以外の委員会等の業務を他領域の教職員が一時的に担うなどの工夫があれば助かる
・同僚等が代講などの肩代わりをすることは、半ば避けられないが、せめて、それ以外の定型的な業務(管理業務や試験監督などを想定しています)を減らせば、間接的ではあるが負担は軽減
・人員補充として教授レベルの人材をバイトで雇用するのは困難であるため、領域の助教を増員して、准教授の仕事量を軽減させることが良い
具体的な提案
・前年の講義内容を記録し、代行の方に前任からの資料が渡されない場合に備える
・非常勤講師承認までの時間短縮
・業務を統括管理出来る役職を設け、何かあった際にはすぐにバックアップ出来るようにする。実習や講義の担当として、総合的にカバー出来る役職を2人以上設ける
・環境が整備できれば、インターネットを用いた休職教員による通信講義
・実習、講義を複数の教官で常に実施
・前年の講義内容を記録し、代行の方に前任からの資料が渡されない場合に備える
・非常勤講師承認までの時間短縮
・業務を統括管理出来る役職を設け、何かあった際にはすぐにバックアップ出来るようにする。実習や講義の担当として、総合的にカバー出来る役職を2人以上設ける
・環境が整備できれば、インターネットを用いた休職教員による通信講義
・実習、講義を複数の教官で常に実施
その他意見ー介護への配慮など
・周囲の人間の負担が増える部分に関し、なんらかの利益(お金やなにか)が発生すれば、休みをとる人間は、その心苦しさが少しは和らぐ
・残っているスタッフの負担が、大きければ大きいほど、休んでいたスタッフが心理的に戻りにくい雰囲気が研究室に発生する可能性が高くなり、潜在的にハラスメントが発生しやすい状況が生まれる
・先の見えない介護や、病気や怪我の場合、必要な期間、休める制度があれば
・男女を問わず、講義、実習を担当している若い教員が海外留学を希望する場合には、残りの教員の負担は大変なもの
・結局は、居る人間が対応するしかない
・親の介護の方が環境に恵まれないことが多いのが現実。介護のための休暇により配慮がなされることを期待
・休みになる方も可及的速やかに周知する必要
・こころの病などからの復職の場合に対応できるような、軽減勤務を制度化
・周囲の人間の負担が増える部分に関し、なんらかの利益(お金やなにか)が発生すれば、休みをとる人間は、その心苦しさが少しは和らぐ
・残っているスタッフの負担が、大きければ大きいほど、休んでいたスタッフが心理的に戻りにくい雰囲気が研究室に発生する可能性が高くなり、潜在的にハラスメントが発生しやすい状況が生まれる
・先の見えない介護や、病気や怪我の場合、必要な期間、休める制度があれば
・男女を問わず、講義、実習を担当している若い教員が海外留学を希望する場合には、残りの教員の負担は大変なもの
・結局は、居る人間が対応するしかない
・親の介護の方が環境に恵まれないことが多いのが現実。介護のための休暇により配慮がなされることを期待
・休みになる方も可及的速やかに周知する必要
・こころの病などからの復職の場合に対応できるような、軽減勤務を制度化