第3回TUGRIPセミナー
本セミナーは終了しました。多数のご参加ありがとうございました。
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本学の教職員・学生を対象とした 第2回TUGRIPセミナーは令和2年度中野裕康先生を代表にとする採択事業の一環として開催しました。
第3回のテーマは、重症感染病態におけるマクロファージ・単球制御による治療戦略について医学部 微生物・感染症学講座の准教授 青柳 哲史先生にご講演いただきました。
基礎分野から臨床現場の方まで幅広い参加があり、活発な質疑応答が交わされ、感動の声も寄せられました。
《開催概要》
◆日 時:2021年6月24日(木)17:00 -18:15
◆参加者:89名(オンライン参加)
学長、医学部長、全学部の教員ならびにスタッフ、そして大学院生さらに学部生の参加もございました。
◆セミナー内容:
【テーマ】
「重症感染病態におけるマクロファージ・単球制御による治療戦略」
【演 者】
医学部 微生物・感染症学講座 青柳 哲史 准教授
【講演要旨】
マクロファージ(Mφ)や単球の活性化は、免疫反応や炎症反応誘導、微生物の 排除など感染症における生体防御の重要な役割を果たします。敗血症(Sepsis)や 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の重症化メカニズムにMφ・単球の活性化が背景にある と考えられますが、認識は不十分であり治療介入の時期を逸することもあります。 一方、基礎研究で様々な重症感染病態動物モデルが作成されていますが、人の病態を 反映したモデルは少なく基礎で得られた知見が臨床応用されにくい状況です。
私共は人の病態を反映した新規ARDS動物モデルを作製し、Mφ・単球に直接作用する 薬剤を選定し、新型コロナウイルス感染症の重症例に対する研究を開始するとともに、 敗血症患者の好中球由来細胞外小胞体中にIL-36アンタゴニストが包埋され、敗血症における Mφ・単球の炎症抑制、血管内皮細胞傷害の抑制に関与することも見出しました。そこで、本講演では、私共の行っている重症感染病態におけるMφ・単球制御を目的とした 臨床的・基礎的研究について紹介したいと思います。
【参考文献】
1. Aoyagi T, et al. Activation of pulmonary invariant NKT cells leads to exacerbation of acute lung injury caused by LPS through local production of IFN-γ and TNF-α by Gr-1+ monocytes. Int Immunol. 23(2):97-108. (2011)
2. Aoyagi T, et al. Etoposide and Corticosteroid Combination Therapy Improves Acute Respiratory Distress Syndrome in Mice. Shock. 52(1):83-91.(2019)
3. Aoyagi T, et al. IL-36 receptor deletion attenuates lung injury and decreases mortality in murine influenza pneumonia. Mucosal Immunol. 10(4) :1043-1055.(2017)
4. Aoyagi T, et al. Interleukin-36 gamma and IL-36 receptor signaling mediate impaired host immunity and lung injury in cytotoxic Pseudomonas aeruginosa pulmonary infection: Role of prostaglandin E2. PLoS Pathog. 13(11):e1006737.(2017)
【世話人】
医学部 生化学講座 中野裕康 教授